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おなかいたいな話 コンラート
月に一度訪れる苦難の日。二日目の悪夢とよんでいる。
陛下と楽しいティータイムだというのに、悪夢は突如やってきた。鈍い腹痛がマヤを襲う。ときおり内臓をぞうきん絞りされたような激しい痛みがやってくるが、なんとか我慢する。笑顔に脂汗がにじんでいるが、陛下に心配をかけたくないのだ。
「そういえばマヤ、グウェンダルがお茶がすんだら来てほしいといってたよ」
「じゃあお開きにしようか!またギュンターと勉強再開再開と…」
にっこり笑顔でユーリを見送って、重い腰をあげる。立つのも歩くのも億劫だが、グウェンダルに会わなければならない。
ヨロヨロ歩き出したところでふわりと体が浮いた。
「コンラート!ちょっとなにするの」
コンラートに横抱きにされたマヤは驚いて身を捻った。彼と目があう。いつもの笑みを浮かべるコンラートに少し安堵した。
「部屋に連れて行こうと思って。歩くのも辛いんだろ?」
「グウェンダルが呼んでるんでしょ?」
「嘘も方便」
陛下に心配かけたくないみたいだったから。と、コンラートは微笑んだ。この人はわたしの心が読めるんじゃないか?マヤは大人しく彼の首に腕をまわした。細く長いようにみえるが、軍人らしい力強い首筋をしている。
「大丈夫?」
「…大丈夫じゃない」
「ギーゼラに見てもらうか?」
「や、病気じゃないの…その…毎月恒例行事だから」
「あぁ、だったらもっと大事にしないと」
ベッドに優しく降ろされる。ガラス細工に触れるような手つき。彼がどんなに自分を大切にしてくれているのかを肌でかんじる。100の言葉より指先が雄弁とは。
「コンラート、手、握っていい?」
「どこにもいかないよ」
コンラートはマヤの額に口付けるとベッドの端に座った。髪をなでる彼の温かい手がなによりも心地よかった。
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