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the brilliant 2

ベイビー、マイ ブリリアント スター 2



コンラートは酔っ払いを抱えて彼女の私室に向かっていた。結局ワイン3本を空けたマヤは自分で歩けなくなってしまった。ギュンターに水をかけられたコンラートが部屋に戻るついでにマヤを運ぶことになったのだ。


「マヤ、鍵は?」
「うー…」
「マヤ」


うなりごえしか出さなくなった。コンラートは仕方なく自分の私室にマヤを連れて行くと、飾り気のないベッドに彼女を寝かせた。シャワーを浴びて戻ると、気持ち悪そうな顔をしてマヤがうずくまっていた。


「マヤ!大丈夫か?弱いのにあんなに飲むから…」
「…失敗した…こんなはずじゃ…」
「吐く?だせるならだしたほうがいいぞ」
「いや、大丈夫…水…」
「ゆっくりのんで」
「…まさか、まだ人間の血のことをいわれるとはおもわなかったわ」
「…本当に結婚するつもりなのか?」
「逃亡するにも宛がないし…この目と髪だし、人間の国にいくわけにもいかないわ」


人間の世界では黒は忌むべき色だ。コンラートと違い、マヤは魔族として生きるしか道がない。
しかし十貴族でもなく、ましてや人間の血が色濃く流れているコンラートではマヤの結婚相手としては不適格だ。


「俺と逃げる?」
「いいお誘いね」
「本気だよ」

コンラートは優しく微笑んでいるが、その目には力が宿っていた。おそらく本当に本気なのだろう。


「わたしのことが好きなの?」
「知らなかった?」
「うん」
「内緒にしてたから」
「そうなんだ。ワガママな妹ポジションだと思ってた」


マヤは苦しそうに笑った。アルコールが抜けるまでしばらくは辛い思いをするだろう。
コンラートは汗ばんだ額にはりついた髪を払ってやると、もう一度水をのませた。



マヤは幼いころに血盟城で保護されて当時王子だったコンラートたちと共にそだった。ギュンターは保護者として、コンラートたちは兄のように慈しんだ。ヴォルフラムよりわずかに年上のマヤは兄弟に守られながら育ったのだ。


「妹なんて思ったことないさ」


コンラートはマヤに口付ける。彼と交わした初めてのキスだった。
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