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コンラート 後悔したこと

コンラート 後悔したこと
まさか自分がこんな過ちをおかしてしまうなんて、昨日まで思いもしなかった。普段ならば絶対にしないようなことを、一時のセンチメンタルに支配されて、私はコントロールを失ってしまった。一生の不覚だ。
見慣れないベッドはウェラー卿のもので、そこかしこに自分と彼の服が散らかっている。一糸まとわぬ姿でシーツにくるまっていた私は、睡魔から目覚めたと同時に自分がおかした罪を自覚した。決して性欲の強いタイプではなく、酒にもムードにも流されることは今のいままでなかったというのに。長年の友人と寝てしまったという事実は私を自己嫌悪でいっぱいにするには十分すぎるものだった。
間違いだったといえば、彼は何もなかったように振る舞ってくれるだろう。しかしお互いの中では何もなかったことにはできない。この日私は貴重な男友達を失ってしまった。
 
「ごめん、こんなことするつもりじゃなかった」
とても彼の目を見れず、視線を合わさずに言った。脱ぎ捨てたシャツにすばやく腕を通しながら、立ち上がった。コンラートはベッドから上体を起こし、かすかに微笑んだ(ような気がした)
 「お互い大人だから、たまにはこんなこともあるよ」
目の端に映る裸体の彼はとてつもなく色っぽかった。
 「慰めてくれたのよね、ありがとう。おかげで元気になったわ」
 「元気には見えないけど。俺のことで悩ませてしまったかな」
yesともnoとも答えられず、曖昧に笑って彼の部屋から逃げ出した。ただのセンチメンタルが、相手のいる悩みに変わってしまったのは予定外の不幸だった。ただの感傷なら、数日自分を抑えこんでふて寝すれば過ぎ去ったのに。いつもながら自分の未熟には反吐がでる。
 友達なんて、そう簡単にできるものではない。それが異性ならなおさらだ。私はたった一時の気の迷いでその貴重な友人を失ってしまったのだ。
「そんなに避けないでほしいな。悲しくなる」
 「避けてないよ。私たちお友達でしょ」
 「いや、避けてるよ。あからさまじゃないけど、違和感を感じるくらいにはね」
 「ごめん、気づかなかった。気をつける」
 「俺のこと、意識してくれたのかと思ったんだけど?」
 「それは…意識、するわよ。恋人でもない人と…しかも大切な友達と…一生の不覚よ」
 「一生の不覚か…俺は嬉しかったよ。ただ、こんなことするつもりなかったと言われると、さすがに傷付いた」
 「ごめんなさい。短慮だったわ。動揺してコンラートの気持ちを考えてなかった」
 「いや、俺も、つい強がってなんでもないふりをしてしまった。」
 「元通りになれるかしら」
 「もう無理だよ」
 「…そうよね…」
 「俺としては、恋人になってくれなら嬉しいんだけどな」
 「え!なんでそうなるのよ」
 「全く鈍感だな。俺はずっと好きだったんだよ。だからあの夜、君が俺を頼ってくれて嬉しかったんだ。元通りにはなれないけど、新しい関係になるのはどうかな」
 「気づかなかった…私ってすごく鈍感ね…」
 「どう?前向きに検討してくれる?」
 「私、誰とでも寝る女かもよ」
「それでもいいよ。でも違うだろ?」
「めんどくさい女だよ?たまに精神不安定になるし」
「知ってるよ。そのときは俺を頼ってほしいな」
「なんで私のことなんか好きなの・・・」
「ずっと側で見てきたんだ。信用してほしいな」
「あんた、うさんくさい・・・」
「はは、よく言われる」
コンラートは私を優しく抱きよせると、強く抱きしめた。やわらかい香りがする。見た目よりたくましい胸に顔を押しつけると、心臓の跳ねる音がした。
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グウェンダル

グレタをあやすグウェンダルをみて、子供がほしいなと思い始めた。年長者に囲まれて育ったわたしは、いいおとなになった今も子供気分が抜けず、また周囲もなんだかんだ世話をやいてくれるので自分はずっと子供のままだとなんとなく思っていたふしがある。おなかがすいたら誰かにおねだりすれば、好物を与えてもらえる。眠くなったら、誰かが部屋まで抱いて連れて行ってくれる。寂しくなれば、誰かにかまってもらえばいい。そんな愛情に恵まれた生き方をさせてもらっていたことに、ふと気がついた。
私の周りの女性というと、ツェリとアニシナで、ふたりとも個性的な生き方をしていて、一般的な人間関係を学ぶ機会はなかったかもしれない。男性は女性を守るものよと、ツェリの言葉をそんなものかと漠然と受け入れていた。周囲の男たちが優しく私をあやしてくれるのもそれが当たり前だと思っていた。
でも、そういえば、わたしが城で養育されることになった経緯は、父からの虐待だったと思い出した。

「ねえグウェンダル、子供すきなの?」
「…嫌いではない」
「かわいいよね」
「…そうだな」
「わたしのことも、グレタみたいにかまってくれてたの?ちっちゃい頃」
「そうだな。お前はヴォルフラムと年が近かったから、二人一遍に暴れるから大変だった」
「特にお前はよく泣いたな。もう怖い夢はみないのか?」
「昨日みたよ。それで、色々思い出したの」
「そうか。だからきたのか?」
「うん。あとね、子供がほしくなった」
「それは、唐突だな」
「父親はグウェンがいい」
「お、おい、マヤ」
「わたしもう大人だったよ。ずっと守られて、大人にならずにすんでた」
「私でいいのか?」
「グウェンがいい。多分、ずっと好きだった。グウェンもわたしのこと好き?」
「お前よりずっと昔から好きだと思う」
「キスして」
「もっと」
「いや、これ以上は」
「なんで?わたし子供ほしい」
「ちゃんと手順を踏んでだな、ギュンターにも挨拶をして、婚約をしてだな」
「ギュンターに挨拶!それすごく気が乗らないわね」
「ああ…殺されそうだ」
「秘密の逢い引きとかしてみたいから、挨拶はちょっと後回しにしましょうよ」
「夜、庭で会いましょう!」
「おい、マヤ」
「約束ね!夕飯のあとね!」

コンラート2

「気持ちいい夜だなマヤ、酔いも冷めただろ?」
「全然冷めない」
「陛下がくれたウコンの力、飲むか?」
「いらないよー酔いたい気分のときだってあるじゃんよー」
「川辺で休んで帰ろう。月がうつってきれいだよ」
「うん、きれいね」
「俺はさ、マヤにどうしていいか分からないんだ」
「それって別れ話?聞きたくない」
「違うさ、その逆。マヤのことを好きすぎて、大切にしたいんだけど、それがマヤを不安にさせてたんだなって反省した」
「大切にしてくれてるなって、分かってるよ。ただ、その、みんなが思ってる関係はないじゃない?私じゃだめなのかなとか、考えちゃって」
「夢魔なのに魅力ないとか夢魔としても女としても終わってる…コンラートがもてるの知ってるし、好きと不安と、でも好きだから一緒にいたいの。だから別れるなんていわないで!」
「落ち着いて。別れるなんていわないから。俺はマヤが世界一好きなんだから、そんなこというはずないだろ?」
「ほんと?」
「ほんと。これから遠慮しないけど、いい?」
「うん」
「では今宵、姫の寝所へ伺います」
「今宵!もう夜も更けてますけども」
「大丈夫、どうせ明日は動けなかったから、ゆっくりできるよ」
「二日酔いって言っておくから大丈夫」
「ゆっくりできるってなに、あの、コンラートさん」
「大丈夫、怖くないよ。大切にするから」
「笑顔が怖い!」

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