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トリコ1
いつもと同じ空だった。
オーブの中立コロニー、へリオポリスには続々と地球軍関係者が集結していたが、気づく者はいない。
私はエンジニアとして半年前からこの地で働いていた。
中立のこの地で、地球軍の軍服に身を包んで。
「物資搬入急げ!遅れてるぞ!」
下士官の声が響く。
3年かかった。
この新型宇宙艦アークエンジェルと、その積み荷6機のGがようやくロールアウトとなったのだ。
バードはともかく、ソフト面ではまだまだ問題が山積みなのだが、軍は速く広報にかけ志気向上に利用したがっている。
私は新型MSコスモスに乗り込み、母艦アークエンジェルへと静かに着艦しようとしていた。
もうすぐ、残りのMSのパイロットが到着する。
その護衛の任に着いたのが、士官学校時代の同期ムウ・ラ・フラガ大尉だと耳にしたときから、今日を心待ちにしていた。
同じ釜の飯を食べた仲、というより、もっと特別な感情は、私の心をいつも沸き立たせた。彼は今回ただの護衛だというので、会えない可能性がたかいのだが、近くに彼を感じられるのが嬉しかった。
「どうせ、彼女、いるんだろうし…私は勝手に片思い。もう5年目だわ」
艦長以下士官が乗艦完了したと通信がはいる。
いよいよだ。
半年ぶりにフラガさんに会える!
新造艦のお披露目よりも、自分の研究結果である6体のGの完成(本来、完成には程遠いのだが、軍はそういうことにしておきたがった。)よりも、フラガさんと再び共に過ごせることが嬉しかった。
しかし、悪夢は突然私たちを恐怖のどん底に誘うのだった。
「敵襲!コンディションレッド発令!総員搬入作業を急げ。」
けたたましいアラートが鳴った。その数瞬あとに、艦に凄まじい衝撃が走った。ドッグ内で大規模な爆発が起きたのだ。
爆発音とともに、搬入途中の物資が、兵士たちを押しつぶす。
まだ固定が済んでいなかったものは、まるでおもちゃのように宙に舞った。
押しつぶされる…!
「Gを…早く…」
私の意識はそこで途切れた。
★
「誰か!誰かいないか!」
ナタル・バジルール少尉が辺りを見回すと、先ほど着鑑挨拶をしていたばかりの上官達の遺体が見えた。
煙も血の臭いに吐き気がする。
ナタルは泣き出してしまいそうな心を押し殺し、生存者を捜索し続けてた。
軍人がこんなところで泣いてはいけない。誇りだけが彼女を動かしていた。
途中、ノイマン曹長ほか、下士官数名と合流できた。少なからずホッとするが、上官たる自分がしっかり彼らを導かなくてはならない。
「他に生存者は」
「格納庫に、ジン中佐がGに乗って入っていました。Gの中なら、生きていらっしゃる可能性が高いです。」
「ジン中佐が…2人私について来てくれ。他の者はブリッジで艦の起動を頼む」
機体とパイロットが無事なら、この状況にも対処しようがある。
宇宙港にはパイロットを積んだ護衛艦も来ているはずだ。必ず助けが来る。
遺体を掻き分けながら格納庫へたどり着いた。様々な物資が散乱しており、次また衝撃がくれば自分たちが、押しつぶされるだろう。
うずくまるように鎮座するMS。早くパイロットを助け出さねばならない。
生きていればの話だったが。
X000コスモス。
ジン中佐の機体だ。
「ジン中佐!いらっしゃいますか!」
叫ぶが返事はない。
警報がけたたましく、人の声なんて届かないのかもしれない。
「ノイマン曹長、ハッチを開けるぞ。手伝え」
「はっ」
外部の緊急脱出用レバーを引くと、中で額から血をながした少女が倒れていた。
「頭をうっているが、生きている。とりあえず救護室…」
「救護室の安全が分かりません!」
「ではブリッジに運ぶ。ここよりはマシだ。引きずりだすぞ!」
ノイマンとトノムラに中佐を担がせ、なんとかブリッジへ移送した。
士官、しかもパイロットが生きていてくれて助かった。
ナタルは胸をなで下ろした。
黒髪の少女は額から大量の血を流しており、切り裂いた布で圧迫止血を試みる。脳に異常があるかもしれない。医者に一刻も早く見せたいが、今できるのはこれだけだ。
ナタルは指揮官席に座り、艦を起動させた。
「まだ通信妨害されている!ザフトの狙いはモルゲンレーテということか!」
ナタルの憤る声に混じり、かすかな、声が聞こえた。
「こちらストライク、地球軍…、応答…願い…」
若い男の声だった。
少なくとも1機は味方が確保したようだ。
合流を急がなければ。
「艦を発進させる。できるな。総員、艦の衝撃に備えよ。アークエンジェル前進微速!」
オーブの中立コロニー、へリオポリスには続々と地球軍関係者が集結していたが、気づく者はいない。
私はエンジニアとして半年前からこの地で働いていた。
中立のこの地で、地球軍の軍服に身を包んで。
「物資搬入急げ!遅れてるぞ!」
下士官の声が響く。
3年かかった。
この新型宇宙艦アークエンジェルと、その積み荷6機のGがようやくロールアウトとなったのだ。
バードはともかく、ソフト面ではまだまだ問題が山積みなのだが、軍は速く広報にかけ志気向上に利用したがっている。
私は新型MSコスモスに乗り込み、母艦アークエンジェルへと静かに着艦しようとしていた。
もうすぐ、残りのMSのパイロットが到着する。
その護衛の任に着いたのが、士官学校時代の同期ムウ・ラ・フラガ大尉だと耳にしたときから、今日を心待ちにしていた。
同じ釜の飯を食べた仲、というより、もっと特別な感情は、私の心をいつも沸き立たせた。彼は今回ただの護衛だというので、会えない可能性がたかいのだが、近くに彼を感じられるのが嬉しかった。
「どうせ、彼女、いるんだろうし…私は勝手に片思い。もう5年目だわ」
艦長以下士官が乗艦完了したと通信がはいる。
いよいよだ。
半年ぶりにフラガさんに会える!
新造艦のお披露目よりも、自分の研究結果である6体のGの完成(本来、完成には程遠いのだが、軍はそういうことにしておきたがった。)よりも、フラガさんと再び共に過ごせることが嬉しかった。
しかし、悪夢は突然私たちを恐怖のどん底に誘うのだった。
「敵襲!コンディションレッド発令!総員搬入作業を急げ。」
けたたましいアラートが鳴った。その数瞬あとに、艦に凄まじい衝撃が走った。ドッグ内で大規模な爆発が起きたのだ。
爆発音とともに、搬入途中の物資が、兵士たちを押しつぶす。
まだ固定が済んでいなかったものは、まるでおもちゃのように宙に舞った。
押しつぶされる…!
「Gを…早く…」
私の意識はそこで途切れた。
★
「誰か!誰かいないか!」
ナタル・バジルール少尉が辺りを見回すと、先ほど着鑑挨拶をしていたばかりの上官達の遺体が見えた。
煙も血の臭いに吐き気がする。
ナタルは泣き出してしまいそうな心を押し殺し、生存者を捜索し続けてた。
軍人がこんなところで泣いてはいけない。誇りだけが彼女を動かしていた。
途中、ノイマン曹長ほか、下士官数名と合流できた。少なからずホッとするが、上官たる自分がしっかり彼らを導かなくてはならない。
「他に生存者は」
「格納庫に、ジン中佐がGに乗って入っていました。Gの中なら、生きていらっしゃる可能性が高いです。」
「ジン中佐が…2人私について来てくれ。他の者はブリッジで艦の起動を頼む」
機体とパイロットが無事なら、この状況にも対処しようがある。
宇宙港にはパイロットを積んだ護衛艦も来ているはずだ。必ず助けが来る。
遺体を掻き分けながら格納庫へたどり着いた。様々な物資が散乱しており、次また衝撃がくれば自分たちが、押しつぶされるだろう。
うずくまるように鎮座するMS。早くパイロットを助け出さねばならない。
生きていればの話だったが。
X000コスモス。
ジン中佐の機体だ。
「ジン中佐!いらっしゃいますか!」
叫ぶが返事はない。
警報がけたたましく、人の声なんて届かないのかもしれない。
「ノイマン曹長、ハッチを開けるぞ。手伝え」
「はっ」
外部の緊急脱出用レバーを引くと、中で額から血をながした少女が倒れていた。
「頭をうっているが、生きている。とりあえず救護室…」
「救護室の安全が分かりません!」
「ではブリッジに運ぶ。ここよりはマシだ。引きずりだすぞ!」
ノイマンとトノムラに中佐を担がせ、なんとかブリッジへ移送した。
士官、しかもパイロットが生きていてくれて助かった。
ナタルは胸をなで下ろした。
黒髪の少女は額から大量の血を流しており、切り裂いた布で圧迫止血を試みる。脳に異常があるかもしれない。医者に一刻も早く見せたいが、今できるのはこれだけだ。
ナタルは指揮官席に座り、艦を起動させた。
「まだ通信妨害されている!ザフトの狙いはモルゲンレーテということか!」
ナタルの憤る声に混じり、かすかな、声が聞こえた。
「こちらストライク、地球軍…、応答…願い…」
若い男の声だった。
少なくとも1機は味方が確保したようだ。
合流を急がなければ。
「艦を発進させる。できるな。総員、艦の衝撃に備えよ。アークエンジェル前進微速!」
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