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トリコ2
アークエンジェルにGが着艦した。すでに戦闘を経験したようで、装甲に傷が目立つ。しかし、機体は無事だ。
コクピットから出てきた人物を視認すると、ナタルは喜びの声を上げた。
「ラミアス大尉!ご無事でなによりであります!」
喜び、に聞こえないところがナタルの不器用なところだ。今までどれだけ心細かったか。上級士官の存在はそれだけで心を軽くしてくれた。しかも彼女は技術士官だ。艦の扱いにも詳しい。
しかしマリュー・ラミアスが民間人の少年たちを伴って来たことに驚きが隠せない。
この艦の存在こそが軍事機密のはずだ。
「ラミアス大尉、これは…」
マリューはなんと説明するか迷って表情をしかめた。
「へえ、こいつは驚いたな。第七師団ムウ・ラ・フラガ大尉だ。よろしく。乗艦許可をもらいたいんだが」
友軍機MAから降りてきたのは金髪の若い男だった。状況にそぐわぬ明るい声色は、彼が幾度も戦場をくぐり抜けてきた実績を感じさせる。
「艦長以下主だった士官は亡くなりました。ジン中佐がご無事でしたが、頭部を負傷され、まだ意識が戻りません。よって今はラミアス大尉がその任にあると思われます。」
フラガは目を見開いてナタルの方を揺すった。
「イオリが?!どこにいるんだ」
「中佐は現在ブリッジにて安静にしておりますが、救護室もひどい有り様でして…士官用の居室を急いで片付けております。」
「分かった。彼女とは同期なんだ。取り乱してすまない。彼女の機体は無事なのか?」
「中佐の機体は…あれです。大きな損傷はありません。私と軍曹で中から救助しました。」
うずくまるように固まったMSが目の前にあった。床に血痕が残ったままだ。なるほど、突然の襲撃にヘルメットをつける余裕もなかったのだろう。
「艦長、乗艦許可を」
「あ…乗艦を許可します。フラガ大尉の機体は動きますか?早く脱出しなければ…」
「脱出、ですか…しかし護衛もなしに」
「俺のはダメだ。修理しないと。さっきコロニーに穴空けちゃったでしょ。次ザフトがきたらもう保たないよ。」
「君、コーディネーターだろ?名前は?」
「キラ…ヤマトです。」
「そいつにのるはずだったパイロットたちも、さっきのでみんな死んじまった。もう一人いるが、今は意識が戻らんらしい。この艦を守れるのは君と俺とだけってことだ。…やれるか?」
「やりますよ、やらなきゃ、みんな死んじゃうんでしょ!?」
「整備班は、こいつの、急いで治してくれ。俺のは脱出した後でいい。俺は少しイオリの様子を見てくる。医者は?」
「いません。止血だけしています。」
「ちっ…しょうがない。すぐ戻る」
フラガは教えられた士官室の扉を開けた。そこには血痕のついた包帯を巻いた、イオリの姿があった。
半年前に月基地で会って以来だ。少し大人びたと思ったが、疲れが出ているだけかもしれない。
「イオリ、入るぞ。また、無理をしたんだな」
フラガは語りかけるように呟いた。
額にかかった髪を分ける。血がこびりついた。毛布を数枚重ね、ベルトで彼女とベッドを固定する。士官用の居室とはいえ、戦艦なので負傷者を固定できるようになっていた。
「脱出できたらまた来る。無事でいろよ」
フラガはそのままブリッジに走った。
コクピットから出てきた人物を視認すると、ナタルは喜びの声を上げた。
「ラミアス大尉!ご無事でなによりであります!」
喜び、に聞こえないところがナタルの不器用なところだ。今までどれだけ心細かったか。上級士官の存在はそれだけで心を軽くしてくれた。しかも彼女は技術士官だ。艦の扱いにも詳しい。
しかしマリュー・ラミアスが民間人の少年たちを伴って来たことに驚きが隠せない。
この艦の存在こそが軍事機密のはずだ。
「ラミアス大尉、これは…」
マリューはなんと説明するか迷って表情をしかめた。
「へえ、こいつは驚いたな。第七師団ムウ・ラ・フラガ大尉だ。よろしく。乗艦許可をもらいたいんだが」
友軍機MAから降りてきたのは金髪の若い男だった。状況にそぐわぬ明るい声色は、彼が幾度も戦場をくぐり抜けてきた実績を感じさせる。
「艦長以下主だった士官は亡くなりました。ジン中佐がご無事でしたが、頭部を負傷され、まだ意識が戻りません。よって今はラミアス大尉がその任にあると思われます。」
フラガは目を見開いてナタルの方を揺すった。
「イオリが?!どこにいるんだ」
「中佐は現在ブリッジにて安静にしておりますが、救護室もひどい有り様でして…士官用の居室を急いで片付けております。」
「分かった。彼女とは同期なんだ。取り乱してすまない。彼女の機体は無事なのか?」
「中佐の機体は…あれです。大きな損傷はありません。私と軍曹で中から救助しました。」
うずくまるように固まったMSが目の前にあった。床に血痕が残ったままだ。なるほど、突然の襲撃にヘルメットをつける余裕もなかったのだろう。
「艦長、乗艦許可を」
「あ…乗艦を許可します。フラガ大尉の機体は動きますか?早く脱出しなければ…」
「脱出、ですか…しかし護衛もなしに」
「俺のはダメだ。修理しないと。さっきコロニーに穴空けちゃったでしょ。次ザフトがきたらもう保たないよ。」
「君、コーディネーターだろ?名前は?」
「キラ…ヤマトです。」
「そいつにのるはずだったパイロットたちも、さっきのでみんな死んじまった。もう一人いるが、今は意識が戻らんらしい。この艦を守れるのは君と俺とだけってことだ。…やれるか?」
「やりますよ、やらなきゃ、みんな死んじゃうんでしょ!?」
「整備班は、こいつの、急いで治してくれ。俺のは脱出した後でいい。俺は少しイオリの様子を見てくる。医者は?」
「いません。止血だけしています。」
「ちっ…しょうがない。すぐ戻る」
フラガは教えられた士官室の扉を開けた。そこには血痕のついた包帯を巻いた、イオリの姿があった。
半年前に月基地で会って以来だ。少し大人びたと思ったが、疲れが出ているだけかもしれない。
「イオリ、入るぞ。また、無理をしたんだな」
フラガは語りかけるように呟いた。
額にかかった髪を分ける。血がこびりついた。毛布を数枚重ね、ベルトで彼女とベッドを固定する。士官用の居室とはいえ、戦艦なので負傷者を固定できるようになっていた。
「脱出できたらまた来る。無事でいろよ」
フラガはそのままブリッジに走った。
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