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夢の桟橋2

夢の桟橋2


「私、仕事やめようと思う」
「やめ…られるのか?」
「来年任期切れるから、もう代表は引退」
「そうだったな、お疲れ様」
「まだ一年あるから。お祝いは来年してね」
「で、この前の返事なんだけど…」
「今か?」
「じゃあ来週会ったときにする」
「いや、もういい、なんだそれは」
「目ざとい」
「俺がはめたかった」
「マリッジはイザークがはめて」
「今から仕事だろ?はめていくのか?」
「だめ?一応、内輪の会議だからプレスはいない」
「いや、嬉しい。愛してる」
「私も愛してる。じゃあ、行ってくるね」

「私、結婚しようとおもってるんです」
「それは…おめでとうございます」
「相手はイザークか?あの記事本物だったんだな」
「えへへ、私も任期終わりですし、先に皆さんにはご報告させていただきました。」
「おめでとう、いつから付き合ってたんだ?」
「二年前…?」
「あー、あの会議のときか」
「ちょっとご相談なんです…私達が公式に出会ったのはあの会議だと世間は認知するはずなんですが、クルーゼからエターナルに逃がしてくれたのが彼なんです。情報は残ってないと思うんですけど」
「なるほど。地球代表のイオリさんとジュール議員の結婚…」
「カガリとアスランの結婚で、ナチュラルとコーディネーター間の交流が活発化しました。ましてや私達は交戦経験もある敵同士だったので、役に立てないかと思ったんです。彼も賛成してます。まあ、私がコーディネーターなのは周知ですから、そこらへんが心配ですが…」
「任期期間中に結婚式を大々的に行うのはいかがでしょうか。世界中から注目されます。人種より、敵同士だった二人が分かり合い、愛し合うことを強調していきましょう。イオリさんはハーフですので、そこも」
「式場は地球かプラントか…で揉めるより、月で行うのはどうでしょう?」
「ありがとう、それを考えてました。」
「テロも防ぎやすい」
「発表はいつにする?」
「それより希望の挙式日はありませんか?」
「退任半年前に、私のバースデー休暇ありましたよね?そこで」
「ちょうど外遊中ですね。スタッフ的にも助かります。」
「ならば発表はその一年前だな。イオリ、その指輪、あと少しガマンしていろ」
「了解」
「半年でプラントと協議しよう。式のコーディネートは…」
「わたくしにお手伝いさせてくださいな」
「決まりだ」
「じゃあ私は、非公式なパーティーを担当したい。イオリがしてくれたように、近しい者たちだけで。結婚式の前に、プラント代表団のオーブ訪問があるだろう。そこで、どうだ」

「イオリ」
「フラガさん」
「おめでとう。それだけ言いたくて。俺もパーティーに参加してもいいか?式は、きっと俺は警備で無理そうだから」
「お子さんも連れて、マリューさんといらして下さい。」
「あの!フラガさん!大好きでした!ずっと助けてくれてありがとう!これからも、いい友人として」
「ああ、大切な妹だからな。泣かされたらうちに帰ってこい!」
「大丈夫。私、強くなったから。もう泣き虫イオリじゃないんです」
「なら、安心だな」

「半年か。うちのほうも、同じような話になっていた。スムーズにいきそうだな。」
「ねえ、変じゃない?きちんとした私服なんてひさびさで…」
「女性は大変だな」
「ちょっと!」
「とっくの昔に知り合いなんだからそう緊張しなくてもいいだろ」
「だって、仕事で会うのと、息子の結婚相手は違うよ」
「結婚しない強情息子にやきもきしてるのは母上だからな。まあ、見ていろ。問題ない」

「びっくりしたわ、イオリさん連れてくるから。いつから付き合ってたの。」
「二年前に仕事で案内して、それからです。何度も戦場では会ってましたが」
「二人は戦ったこともあるでしょう。まさかよ。おめでとうイザーク、イオリさん、これからも息子のことよろしくね」
「戦ったから分かることがあるのかもしれません。とても優しい人です。厳しいけど。エザリアさん、こちらこそどうぞよろしくお願いします。」

「いい家。このお坊ちゃま」
「うるさい。同居はしないぞ」
「えっ」
「お前の母上好きは知っているからな。写真集持ってるだろ」
「なんで知ってるのよ…地球の…オフィスにおいてるのに…」
「アスランから聞いた」
「あのガキ…」
「俺も結婚したらしばらく休暇をとる。1年か2年」
「プラントはいいわねー、休暇が充実してる。」
「パンのみに生きるにあらず、だからな」

「フラガさんと少し話してね。ちゃんと大好きだったこと言えたよ。」
「…頑張ったな」
「吐き出してもいい?聞きたくないことかも」
「受け入れるといったろ」
「14のころから、ずっと大好きだったの。こんな愛し方されたい、ってのがいつの間にかこの人に愛されたいって変わっていった。でも、愛されたい、守られたい、そればかりだった。今も、イザークに対してそういうところがあるとおもう。もらってばっかりで、返せてないかもしれない。でも、あんたを選んで、愛したいと感じて、笑っていて欲しくて、フラガさんのときとは違う気持ちを持てた。愛してる。」
「正直にいうと、彼には嫉妬もしているが…プラントには処女崇拝文化はないし、俺個人にもない。お前が気にしてることは気にならない。極限状態のあの頃より、平和な今、選ばれた余裕もある。そして、真面目なくせにめんどくさがりなお前が結婚なんて面倒で縛られる選択をしてくれたことを誇りに思っている。愛してくれている。俺も愛してる。他に不安は?」
「…ない…」
「お前の育ち方だと、すぐ不安になるのは仕方ないんだ。その都度俺に言え。安心させてやる。いつか不安にならない日が来る」
「…うん」


フラガさんは私にとって夢の桟橋のような人だった。大海原へ飛び出すときに、船まで導いてくれるひと。後ろを振り返ると、橋は消えて、もう元の場所へは戻れない。霧の中にうっすら見える、幻と現実の境目。子供時代の終わり。
私はフラガさんを愛し、愛され、傷付けて、海へ飛び出し、やっと自分で生きる覚悟ができた。私はもう子どもじゃない。自分の足で生きていける。
命を守ってくれた彼に感謝して、お互い別々の幸せを、もうとっくに手にしていた。
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