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遥か3 景望 つづき 祝言の日
「きれいよ望美。兄上にはもったいないくらい」
「朔ったら」
「でも嬉しいわ。これで本当に家族になれるんですもの。兄上のことも見直したわ。こんなすてきなお嫁さんを連れてきて」
「わたしも、みんなと家族になれて、嬉しいよ。朔、これからもよろしくね」
「望美さん、朔さん、準備が整ったようですよ。神殿へどうぞ」
「弁慶さん」
「きれいです、望美さん。景時に渡すのが惜しいくらいだ。このまま僕と逃げませんか」
「弁慶殿、うちの花嫁を拐かすのはやめてください」
「景時さん!」
「望美ちゃん!うわ、きれいだね。びっくりしちゃったよ。」
「景時さんも、かっこいいです。正装って、初めてみるかも」
「なんだか照れくさいね。さ、いこっか」
「かしこみかしこみもうす・・・」
神職姿のヒノエくんは、いつもと違う雰囲気で、なれた様子で祝詞を読む。久しぶりに訪れた熊野本宮には、家族のいないわたしのためにいろんな人が集まってくれた。みんなに見守られながら、わたしは景時さんと杯を飲み交わした。
「これで夫婦になったなんて、あまり実感ないですね」
「そうだね。でも、俺は、きみが花嫁姿で隣にいてくれてるだけで、もう幸せでいっぱいいっぱいだよ」
「景時にあきたらいつでもオレのとこに来いよ姫君。かぐやの姫のようにきれいだ、今すぐ攫っていきたい気分だぜ」
「ヒノエくんひどいよ、みんな俺から花嫁さんを奪うことばっかり考えて。祝言あげたばっかりだっていうのに」
「男の嫉妬さ。お前はそれだけいい女を娶ったんだ。幸せにしなきゃ、すぐ攫うからな」
「はー、疲れましたね景時さん」
「そうだね、向こうじゃまだ宴会が続いてるよ」
「久しぶりに会うひとも多いですから。景時さんはもういいんですか?」
「いいのいいの」
「・・・初夜に花嫁と過ごさなくてどうするの」
「あ・・・」
「ほんとに、俺でいいの?」
「景時さんがいいんです!」
「俺も、望美ちゃんが好きだよ…」
「景時、さん」
「俺を選んでくれてありがとう。お嫁さんになってくれてありがとう、幸せって思ってもらえるようにがんばるね」
「わたしも・・・景時さんと幸せになります」
衣が静かに暴かれる。肌触りのいい襦袢がするりと落ちて、素肌が露わになった。月明かりさえ眩しく思える。見たことのない艶を含んだ景時さんの表情に、全身がぞくぞくと熱をもった。
普段みない、彼の男の顔に、ほんの少し恐怖を感じた。食べられてしまいそうだ。
「大丈夫、怖くないよ」
わたしの心を感じとったのか、景時さんは優しくいつもの笑顔で髪をなでた。キスをして、素肌の体温を確かめあうように抱き合った。逞しい胸に顔をうずめると、微かに梅の香りがした。
「あ、梅の香り・・・」
「ああ、うん、昔きみにもらった香り袋を今日もってたんだ。匂いが移ったかな」
「まだ、もっててくれたんですか」
「当たり前だよ、すごく、嬉しかったんだ」
深いキスをする。わたしは息継ぎも分からずにそれだけで身体中の血液が沸騰しそうになった。ゆっくりゆっくり、進んでいく儀式は景時さんの優しさを全身で感じる。彼の指先、体重、体温、おずおずと壊れ物に触れるように、けれどもどかしさはなく、ただただ優しいものだった。
「痛く、ない?」
「は、い・・・景時さん、すき」
「望美ちゃん・・・そんなこと言われると、ガマンできなくなっちゃうよ」
「ガマンなんて、しないでください・・・全部、受けとめさせて」
温かいぬくもりと、髪を撫でられる感覚に目をさました。後ろから抱きしめられている。いつのまに眠ってしまったんだろう。素肌の体温に、昨晩の記憶がよみがえり、急に気恥ずかしくなった。景時さんは「おはよう望美ちゃん」とニコニコ微笑んで、ぎゅっと強く抱きしめた。
「お、おはようございます景時さん」
「夕べはむりさせちゃったかな、体、大丈夫?」
「あ・・・ちょっと、動けない、かも・・・」
「今日は二人でゆっくりしてよう。ずっと、このままで」
あたたかな体温にまぶたが重くなる。
幸せな夢が訪れる。
「朔ったら」
「でも嬉しいわ。これで本当に家族になれるんですもの。兄上のことも見直したわ。こんなすてきなお嫁さんを連れてきて」
「わたしも、みんなと家族になれて、嬉しいよ。朔、これからもよろしくね」
「望美さん、朔さん、準備が整ったようですよ。神殿へどうぞ」
「弁慶さん」
「きれいです、望美さん。景時に渡すのが惜しいくらいだ。このまま僕と逃げませんか」
「弁慶殿、うちの花嫁を拐かすのはやめてください」
「景時さん!」
「望美ちゃん!うわ、きれいだね。びっくりしちゃったよ。」
「景時さんも、かっこいいです。正装って、初めてみるかも」
「なんだか照れくさいね。さ、いこっか」
「かしこみかしこみもうす・・・」
神職姿のヒノエくんは、いつもと違う雰囲気で、なれた様子で祝詞を読む。久しぶりに訪れた熊野本宮には、家族のいないわたしのためにいろんな人が集まってくれた。みんなに見守られながら、わたしは景時さんと杯を飲み交わした。
「これで夫婦になったなんて、あまり実感ないですね」
「そうだね。でも、俺は、きみが花嫁姿で隣にいてくれてるだけで、もう幸せでいっぱいいっぱいだよ」
「景時にあきたらいつでもオレのとこに来いよ姫君。かぐやの姫のようにきれいだ、今すぐ攫っていきたい気分だぜ」
「ヒノエくんひどいよ、みんな俺から花嫁さんを奪うことばっかり考えて。祝言あげたばっかりだっていうのに」
「男の嫉妬さ。お前はそれだけいい女を娶ったんだ。幸せにしなきゃ、すぐ攫うからな」
「はー、疲れましたね景時さん」
「そうだね、向こうじゃまだ宴会が続いてるよ」
「久しぶりに会うひとも多いですから。景時さんはもういいんですか?」
「いいのいいの」
「・・・初夜に花嫁と過ごさなくてどうするの」
「あ・・・」
「ほんとに、俺でいいの?」
「景時さんがいいんです!」
「俺も、望美ちゃんが好きだよ…」
「景時、さん」
「俺を選んでくれてありがとう。お嫁さんになってくれてありがとう、幸せって思ってもらえるようにがんばるね」
「わたしも・・・景時さんと幸せになります」
衣が静かに暴かれる。肌触りのいい襦袢がするりと落ちて、素肌が露わになった。月明かりさえ眩しく思える。見たことのない艶を含んだ景時さんの表情に、全身がぞくぞくと熱をもった。
普段みない、彼の男の顔に、ほんの少し恐怖を感じた。食べられてしまいそうだ。
「大丈夫、怖くないよ」
わたしの心を感じとったのか、景時さんは優しくいつもの笑顔で髪をなでた。キスをして、素肌の体温を確かめあうように抱き合った。逞しい胸に顔をうずめると、微かに梅の香りがした。
「あ、梅の香り・・・」
「ああ、うん、昔きみにもらった香り袋を今日もってたんだ。匂いが移ったかな」
「まだ、もっててくれたんですか」
「当たり前だよ、すごく、嬉しかったんだ」
深いキスをする。わたしは息継ぎも分からずにそれだけで身体中の血液が沸騰しそうになった。ゆっくりゆっくり、進んでいく儀式は景時さんの優しさを全身で感じる。彼の指先、体重、体温、おずおずと壊れ物に触れるように、けれどもどかしさはなく、ただただ優しいものだった。
「痛く、ない?」
「は、い・・・景時さん、すき」
「望美ちゃん・・・そんなこと言われると、ガマンできなくなっちゃうよ」
「ガマンなんて、しないでください・・・全部、受けとめさせて」
温かいぬくもりと、髪を撫でられる感覚に目をさました。後ろから抱きしめられている。いつのまに眠ってしまったんだろう。素肌の体温に、昨晩の記憶がよみがえり、急に気恥ずかしくなった。景時さんは「おはよう望美ちゃん」とニコニコ微笑んで、ぎゅっと強く抱きしめた。
「お、おはようございます景時さん」
「夕べはむりさせちゃったかな、体、大丈夫?」
「あ・・・ちょっと、動けない、かも・・・」
「今日は二人でゆっくりしてよう。ずっと、このままで」
あたたかな体温にまぶたが重くなる。
幸せな夢が訪れる。
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