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三国無双 トリップ 魏

橘 真矢

天は赤い河、マ、いろいろパロ
ナキア 張角
カイル 曹丕 司馬懿 司馬師
ラムセス 趙雲 陸遜


その日は大雨だった。私は急いで学校へ向かっていた。最近夢にみる風景とそっくりの土砂降りで、なんだかとても恐ろしかった。夢のなかで私は濁流の側溝に引きずり込まれて、祭壇に祀られるのだ。気持ちの悪い導師のおじさんに首を切られ、死ぬ夢。おかげでここのところ寝不足だ。
あと少しで学校につく。びしょ濡れだから、先生にいってジャージで授業を受けさせてもらおう。
「見つけたぞ」
「え?」
声がきこえた。はっきりと、見つけたと。男の声だ。私はこの声を知っている。夢のなかで何度も聞いたものだ。
その瞬間、足をなにかに掴まれた。叫ぶが、誰もいない。いつもならたくさんの人がいる通りなのに誰もいなかった。
「きゃああああ」
「捕まえたぞ、暁の女神」
濁流のなかに引きずり込まれる。息ができない。抵抗しようともがいたが、いつの間にか意識を失ってしまっていた。


「おい、起きろ娘」
「う・・ん・・・」
温かい。水、いやお湯だ。雨で冷え切っていた体がぬくもりを取り戻す。
「何者だ娘。ここが私の湯殿だと分かってここにいるのか?」
「なに?なに言ってるのかわかんない」
目をあけると、裸のイケメンにお姫様だっこされていた。温かいのは、温泉旅館並みのお風呂に浮かんでいるからで、謎のイケメンが謎の言葉でなにかいっている。機嫌が悪そうだが、それどころではない。
「変態!なんなのよあんた!ここどこ?なんで裸なのよ、なんて言ってるの?離してよ!」
「お前、間者か?それとも誰かがよこした妃候補か?それにしては色気がないが」
イケメンから逃れようと暴れてみるが、びくともしない。私、こんなところで貞操の危機?むしろ命の危機?
「うるさいぞ。少し静かにしろ」
イケメンの顔が近づく。近い、近い、近すぎる。はねのけようとした瞬間、距離は限りなくゼロになる。唇に唇が触れる。ファーストキス。
「や、やだ、なにすんのよ!初めてだったのに!」
「初めてが私とは幸運だったな娘」
言葉がわかる。なにが起きたのかまた意味がわからなくなる。
「なに偉そうに!イケメンだからって調子のってんじゃないわよ。初めてだったのに・・・ひどい」
「曹丕様、どうなさいましたか」
「司馬懿か、この娘を連れていけ」
「新しい妾ですか」
「知らん。突然あらわれたのだ」
「間者でしょうか」
「さあな」
「娘、来い」
「やだ、痛い!」


「お前、名は?」
「橘真矢です」
「聞き慣れぬ響きだな。どこの出身だ?」
「日本!普通の日本人の名前よ」
「日本?どこだそれは」
「え・・・ねぇ、ここはどこなの?あなたも、変な格好してる」
「変な格好とはなんだ!これは魏の官服だ。ここは許昌、魏の曹操様の居城だ」
「魏?魏って、まさか、三国志?うそ・・・」
「お前、この国のものではないな。なぜ曹丕様の湯殿にいた?」
「分からない。気付いたらあそこで・・・誰かに捕まったの。雨のなかに吸い込まれて、捕まえたぞ、暁の女神、って声が聞こえて」
「暁の女神だと?」
「なんなのよ!知らないわよ!」
「戦に勝利をもたらすという伝説の女神だ」
「真矢といったか。それを誰にいわれた?」
「知らない人・・・気持ち悪いおじさん。導師っていってた。みんな黄色の服を着てて、妖しい感じで怖かった。ずっと夢にでてきてた。黄天がどうのって」
「黄天か。よもや張角が本物とはな」
「連中は妖しい術をつかうといいます。乱を起こすとの噂もありますし、戦の神を欲しがっても不思議はありますまい」
「ほう、疑り深いお前が信じるのか司馬懿よ」
「信じたわけではありません。が、曹丕様の湯殿はこんな小娘が入り込めるような造りにはなっておりませんし、この珍妙な身なり、突然あらわれたということですし、殺すのはいつでもできます」
「殺すって!私を?殺すの?」
「間者ならば容赦はせぬ」
「間者ならばな。暁の女神ならば話は違う。司馬懿よ、この娘のこと、父上には内密にせよ。私がそばにおく」


「娘、真矢といったか」
「そうだけど、あなたは?さっきの司馬懿より偉そうね」
「私は曹丕子桓。この国の太子だ」
「太子・・・ほんとに日本じゃないんだ・・・」
「お前はどこからきたのだ」
「日本っていう国。多分、ずっと東のほうだよ。多分未来からきたの」
「多分ばっかりだな」
「だって自分でもわかんないんだもん!びしょ濡れで、いきなりこんなとこ来て、こ、殺されるとか・・・意味わかんない!」
「まあいい。ついてこい。屋敷に帰るぞ」

「まあ曹丕様、こちらのお嬢さまは?まあ、ずぶ濡れではございませんか」
「真矢という。これからここに住まわせる。部屋と服と、すべて整えてやれ」
「ちょっと曹丕!」
「真矢様こちらにどうぞ」
「真矢、終わったら部屋にこい」

「お、お邪魔します・・・」
「あぁ入れ」
「服とか、ありがとう…ございます」
「ほぅ、馬子にも衣装だな」
「バカにして・・・」
「違う。磨けば光るといっているんだ。美しいと」
「あなたって、そんな冗談、いうんだ」
「冗談はあまり言わん。が、まあよい。お前、いくあてもなかろう。ここで暮らすんだな。不自由はさせまい」
「私が暁の女神だから?でも知らないわよ!違うかもしれない」
「どうでもよい。たとえ例えお前が本物の暁の女神だったら、儲けたなとは思うかもしれん。私の宮に暁の女神がいる、それだけで充分なのだ」
「あなた、すごい野心家ね。自分の力だけでやってやるって顔してる」
「ふっ、今すぐ抱かれたくないなら早く部屋に戻ることだな」
「なっ、なに言ってるのよ!戻るから!じゃあね!おやすみ!」

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