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イオリの育成日記

イオリは恐る恐る私の真似をして、廊下を走ったり、ソファーで飛び跳ねたりした。こちらの顔色をうかがう仕草があったが、私が何食わぬ顔をしてソファーで飛び跳ねていると5歳の子どもらしく夢中になった。いままでどんな生活だったかが伺えて、辛い気持ちになる。なにも心配せずに健やかに育ってくれればそれでいいというのに。
イオリはジョンと仲良くなって、よく一緒にいるところを見るようになった。ジョンは小さい人間のことを守ろうとしているようだ、と妻が言っている。イオリもジョンには心を許しやすいのか、ふたりで黙って何かをしているときがある。妻とはよくジョンの散歩にいくそうだ。

「今日は買い物にいくわよ」
「ごはんですか?」
「皆のお洋服を買うのよ。暖かくなってきたでしょう?」
「あ…私は、いいです。去年のお洋服がありますから」
「もう入らないわよ」
「負担になれません」

妻が驚いていたことは、もうお金について、洋服にいくらくらいかかるか、生活にかかるか、ある程度高度に理解しているということだった。普通この年ではモノの価値について理解できない。キャンディも服も与えられるものだから、考える必要がないのだ。

「あなたのお洋服が負担だなんて!お父さんはいっぱい稼いでるから大丈夫よ。負担になるって思うなら一緒に暮らそうと思わないと思わない?」
「…本当のお父様は、私が新しく服を着てると怖い顔をするんです」
「そんな人もいるのね!うちのお父さんは大丈夫よ。お母さんもよくお洋服をかうけど、似合うねって褒めてくれるわよ」
「えええ」
「ね、明日お父さんが帰ってくるから、可愛い格好をして二人で褒めてもらいましょうよ」
「…いいんですか?」
「いいのよ!嬉しいのよ」

そして妻はイオリの服と自分の服を買い、私は出迎えてくれた二人を今日は一段と素敵だねと褒めた。イオリはびっくりしたような顔をして妻のほうを向き、妻はほらねと笑いかけた。私は意味が分からなかったが、あとから妻の話をきいて、これからも二人をもっとほめようとおもった。

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