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トリコ アラスカの異変

一箱に収まる荷物をまとめると、アークエンジェルの面々に挨拶をして退艦した。フラガさんとナタル、フレイも一緒だ。



女性組は月本部への異動なので、同じ船にのることになる。
フラガさんとはここでお別れだ。




「元気で、な。またどっかで会えるさ」
「フラガさんも、お元気で。きっといい先生になりますよ」



彼は私たちを月行きの列まで送ると、人混みに消えていった。




列車でパナマまで移動し、そこから宇宙に上がることになっている。私とナタルは異動は慣れたものだが、フレイは不安そうにキョロキョロ辺りを見回していた。



「大丈夫よ。すぐに慣れるわ」
「は…はい…」
「それにしても、多過ぎませんか?まだパナマにでる艦があるんでしょうか?」




長い列に並ぶ間、端末で情報収集をする。情報収集といっても基地司令部のメインコンピュータへのハッキングだ。ほとんどの基地制御システムの開発をしたのは私なので、セキュリティーなんてフリーパスのようなものだった。



軍大学時代に開発したシステムだったため、上層部もそのことを忘れていたのかもしれない。



気付いてしまった。
司令室はおろか、ほとんどの建物から人が消えていることに。



「…え?」
「大佐?どうかされましたか?」
「あ…忘れ物したみたいです。大切なものなので、ちょっと取ってきます。次の便でいきますから、先に行っていて下さい。」
「え、大佐!」
「フレイさんのこと、お願いします」




荷物を廊下に置き捨てる。
制御盤から有線プラグを取り出し、端末に繋ぐ。暗号化されたサザーランド大佐のメールを洗う。


ジョシュア、サイクロプス、上層部と兵士の退避、使えない残存部隊はここで始末…


信じられない言葉が並んでいた。



アズラエルから、ザフトの攻撃目標の変更が知らされていた。予定時刻は今すぐ、アラスカ基地…!



そんな。



すぐに情報が繋がった。
補給もされない、整備もされないアークエンジェル。ほかの艦も似たような状況だと聞いていた。大量破壊兵器で抹殺する部隊に補給は必要ないということだ。




知らせなければ!
なんとかして知らせなければならない。




説得にたる証拠を集め、公開しなくては。



アラスカ基地地下、ジョシュアには大量のサイクロプスが設置されていた。




将官用のリニアの映像、司令室の状況、これだけでみなを納得させられるだろうか。




アラートが鳴り響いた。もう来てしまったのだ。時間が足りない!




「イオリ?!移送船に乗らなかったのか?」
「フラガさんこそ、どうして」
「おかしいと思って、引き返した!」
「…気のせいじゃないかもしれません。私は…基地地下にサイクロプスを発見しました。」
「なんだと…?」
「内通者が手引きした可能性があります。急ぎましょう。みんなに知らせないと」
「どうすんだよ」
「司令室からオープン回線で両軍に停戦と退避を指示します。」



誰もいない本部を駆ける。アラスカ基地は広い。途中拾ったバイクに乗り、司令本部ビルにたどり着いた。フラガさんが一緒で良かった。私はバイクに乗れない。一人では本部にすらたどり着けなかっただろう。




私はこんなにも、一人ではなにも出来ない。




「この感じ、ラウ・ル・クルーゼか」
「…内通者が…やはり」
「気を抜くなよ、イオリ」



銃を構え、警戒しながら司令室を目指す。敵がいると思うと速度が落ちるが仕方なかった。




司令部は映像通りもぬけの空だった。
チカチカ、モニタの光だけが瞬いている。



「もぬけの空だ!なんだってんだ」
「残ってるのは、いらないと判断された者たちだけです。私はここから駐留部隊に通信を…」



「そうはさせん。」



誰もいない本部のコントロールルームに人影が見えた。白い軍服。金髪の男。
フラガさんの言うとおりだ。あれがラウ・ル・クルーゼ。コンピュータになにか細工をしている。



フラガさんは躊躇なく引き金をひいた。
クルーゼは身を翻し、不敵に笑む。



フラガさんに分かるということは、クルーゼもすでにフラガさんの存在を感じとっていたのだ。





「久しぶりだなムウ・ラ・フラガ。ここにいるということは貴様も用済みか?落ちたものだなエンディミオンの鷹も」



「そちらは、イオリ・ジン大佐かな?いつも一緒だなお前たちは」



クルーゼは発砲しながら追い詰めてくる。ここでは通信なんてできない。




「イオリ!逃げるぞ!」



フラガさんに腕を引かれ、踵を返した。銃弾をくぐり抜けながらクルーゼから逃げる。積極的に追いかけてくるつもりはないようだ。どうせサイクロプスで始末されると思っているのだろう。


「イオリ、格納庫に向かうぞ!戦闘機かなんか、あるだろ。アークエンジェルに向かおう」



フラガさんは強い力で腕を引っ張った。彼の進む方向と、私が行くべき道が別れた。逆方向に腕をひかれ、ひどく痛んだ。




「私は司令を出さねばなりません。開発者用のコントロールルームが他にもあります。そこから両軍に向けて、指示を出します。」
「そんなの、機体の通信でやればいい!」
「だめです。証拠の映像をつけなければ誰も信用しません。私が、基地司令室から発信することに意味があるんです!」
「死ぬ気か!」



今まで聞いた彼の声の中で、一番強い言葉だった。



「フラガさん!」



彼の腕を引く。
体勢を崩した彼の唇にキスをした。



「絶対戻ります。そのときは、いっぱい抱いてください。愛してます。」



フラガさんがよろめいた隙に、私は踵を返し、コントロールルームに向かった。
クルーゼに見つかるか、サイクロプスに巻き込まれるか。とても退避は間に合わないだろう。



でもこれが、私がここにいる意味だとおもった。



祭り上げられた名ばかりの大佐。
ただの小娘にもできることはある。



さあ、覚悟を決めよ。
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