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暁の神子 続き
「早速、父から屋敷が与えられた。そこを好きなように使えとのことだ。」
「わあ!早速、子供たちを受け入れられるように整えなきゃ!見に行きたい!」
「それはこちらで手配しておく。今日は医官たちが話を聞きたいそうだ。ここに呼んでいる」
「そうなんだ、分かった。曹丕はお城にいくの?」
「ああ、やることが山積みだ。なんだ、寂しいのか」
「偉い人って、毎日お酒飲んで遊んでるって思ってたの。曹丕はよく働くよね」
「そういう者もいる」
「司馬懿を寄越す。分からないことは奴に聞け。」
忙しいはずなのに、司馬懿を私に付けてくれるところが彼の思いやりだと感じる。曹丕の右腕である司馬懿がいなければ仕事は思うように進まないだろうに。
「神子殿、私どもは曹操様の医師でございます。私は華陀と申します。これより神子殿の配下に任命されました。どうぞご教授よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。私が分かることは多くはありませんが、お力になれるよう頑張ります」
「私も参加させていただきたいんだけど、いいかな」
「あなたは…たしかお城で…」
「こちらは、曹操様の軍師、郭嘉殿だ。神子の知識にご興味がおありでな。どうしてもと仰っている」
「郭嘉奉考という。麗しの神子殿とお近付きになれて光栄だよ」
「はあ」
「僕がいれば、直接曹操様にお願いも出来るからね。便利だよ」
「ってことで、菌はだいたい100度で死滅するので、怪我人の患部に触れるものは熱湯消毒してから使うんです」
「一度沸騰させた水を使うのも、水の中の菌を殺すのですね」
「はい。本当は普段の生活でも沸騰させた水を使って欲しいです。お腹壊したりしなくなります。怪我人は弱って普段より病気になりやすいですし、戦場は清潔にするのが、むずかしいので…アルコール消毒とかできませんかね」
「アルコール?」
「あ…お酒の成分で消毒できるんです」
「お酒ならここにあるよ。飲んでみるかい?」
「あー、あんまり…強くないんですね。甘酒…?私でも飲めます」
「そうかい?私はこれが大好きでね」
「これだと、多分、消毒にはならないと思います…もっと強いお酒じゃないと」
「作ろうか?」
「作れるんですか?」
「ははは、神子殿、僕たちで作るんだよ。お金は曹操様が出してくれるよ。彼もお酒が大好きだからね」
「…飲むためじゃないんですけど…でも、やってみる価値はありますね。完成すればもっと死傷者を減らせるはずです。」
「何が必要かな」
「ウイスキーとかどうかな…蒸留酒です。麦を発酵させて、蒸留してアルコール分だけ取り出します。こんな、器作れますかね?」
「技官に聞いてみるよ」
「…ついでに樽も用意してくれたら、少しだけ飲み物も作ります」
「楽しいだな。任せてくれ」
「しかし神子殿、消毒が出来るのは分かりました。私は医師として、既に病を発症してしまった者に効く薬をずっと探しているのですが、ご存知ありませんか」
「抗生物質…ってことか…」
「出来るか分からないのですが…青カビって集められますか?あと、こんな形の器も必要です。たくさん作って欲しいです。あと、綿花?ありますよね?」
「分かった。外に必要なものは?」
「芋と麦…麦はアルコールでも使いますからいっぱいです。煮沸水、紙…」
「じゃあ、神子殿は次までにつくりかたを整理しておいてくれるかな。僕は物を揃えよう」
「私は他の医官に協力を頼みます。調剤の上手いものを集めましょう」
孤児院には恐る恐る集まった少年達が、生活を始めていた。傷痍兵が教官となり練兵をすることで、失業者対策も兼ねている。夫を失った女達には生活の世話をしてもらい、給金はないが衣食住に困らない生活を与えることになった。
少年達は農村の出身がほとんどで、畑仕事は慣れたものだ。
乱の間に農政官が作っていた肥料を使い、実験の場として利用している。見たところ作物の育ちも良さそうだ。
「神子よ。うまくいっているようだな」
「曹操様!」
「ついて来ちゃったんだ。びっくりさせたね」
「郭嘉から話は聞いていたが、一度この目で見てみたくてな」
「いつでもいらっしゃってください。曹操様の民ですもの」
「ちと、手狭になってきたようだな」
「ええ、最初は怖がってた子供たちも、噂をききつけて集まってきまして…もう受け入れられない人数なんです」
「医療研究室のほうも、薬作りを始めたらあっという間に狭くなってしまいましたし。陶器が作るなら職人の窯だけでは足りず…」
「ほかにもやりたいことがいっぱいあるんですが」
「ふむ…城をやろう。子桓に新しい領地を任せようと思っていたのだ。その城は戦で焼けてな。空っぽだ。石造りの建物だけは残っているから、少しずつ増築するといい。そこを学問の都にせい」
「城…城ひとつ、学校ですか…」
「足りぬか?」
「なんで…」
「お主の知恵に、わしも皆も希望をみているのだ。まあ、あの酒の褒美だと思っておけ」
「え、あれ、飲んだんですか!まだ試作品なのに!」
「いつものやつに少し混ぜてな。あれは癖になる。もっと作ってくれ」
「わあ!早速、子供たちを受け入れられるように整えなきゃ!見に行きたい!」
「それはこちらで手配しておく。今日は医官たちが話を聞きたいそうだ。ここに呼んでいる」
「そうなんだ、分かった。曹丕はお城にいくの?」
「ああ、やることが山積みだ。なんだ、寂しいのか」
「偉い人って、毎日お酒飲んで遊んでるって思ってたの。曹丕はよく働くよね」
「そういう者もいる」
「司馬懿を寄越す。分からないことは奴に聞け。」
忙しいはずなのに、司馬懿を私に付けてくれるところが彼の思いやりだと感じる。曹丕の右腕である司馬懿がいなければ仕事は思うように進まないだろうに。
「神子殿、私どもは曹操様の医師でございます。私は華陀と申します。これより神子殿の配下に任命されました。どうぞご教授よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。私が分かることは多くはありませんが、お力になれるよう頑張ります」
「私も参加させていただきたいんだけど、いいかな」
「あなたは…たしかお城で…」
「こちらは、曹操様の軍師、郭嘉殿だ。神子の知識にご興味がおありでな。どうしてもと仰っている」
「郭嘉奉考という。麗しの神子殿とお近付きになれて光栄だよ」
「はあ」
「僕がいれば、直接曹操様にお願いも出来るからね。便利だよ」
「ってことで、菌はだいたい100度で死滅するので、怪我人の患部に触れるものは熱湯消毒してから使うんです」
「一度沸騰させた水を使うのも、水の中の菌を殺すのですね」
「はい。本当は普段の生活でも沸騰させた水を使って欲しいです。お腹壊したりしなくなります。怪我人は弱って普段より病気になりやすいですし、戦場は清潔にするのが、むずかしいので…アルコール消毒とかできませんかね」
「アルコール?」
「あ…お酒の成分で消毒できるんです」
「お酒ならここにあるよ。飲んでみるかい?」
「あー、あんまり…強くないんですね。甘酒…?私でも飲めます」
「そうかい?私はこれが大好きでね」
「これだと、多分、消毒にはならないと思います…もっと強いお酒じゃないと」
「作ろうか?」
「作れるんですか?」
「ははは、神子殿、僕たちで作るんだよ。お金は曹操様が出してくれるよ。彼もお酒が大好きだからね」
「…飲むためじゃないんですけど…でも、やってみる価値はありますね。完成すればもっと死傷者を減らせるはずです。」
「何が必要かな」
「ウイスキーとかどうかな…蒸留酒です。麦を発酵させて、蒸留してアルコール分だけ取り出します。こんな、器作れますかね?」
「技官に聞いてみるよ」
「…ついでに樽も用意してくれたら、少しだけ飲み物も作ります」
「楽しいだな。任せてくれ」
「しかし神子殿、消毒が出来るのは分かりました。私は医師として、既に病を発症してしまった者に効く薬をずっと探しているのですが、ご存知ありませんか」
「抗生物質…ってことか…」
「出来るか分からないのですが…青カビって集められますか?あと、こんな形の器も必要です。たくさん作って欲しいです。あと、綿花?ありますよね?」
「分かった。外に必要なものは?」
「芋と麦…麦はアルコールでも使いますからいっぱいです。煮沸水、紙…」
「じゃあ、神子殿は次までにつくりかたを整理しておいてくれるかな。僕は物を揃えよう」
「私は他の医官に協力を頼みます。調剤の上手いものを集めましょう」
孤児院には恐る恐る集まった少年達が、生活を始めていた。傷痍兵が教官となり練兵をすることで、失業者対策も兼ねている。夫を失った女達には生活の世話をしてもらい、給金はないが衣食住に困らない生活を与えることになった。
少年達は農村の出身がほとんどで、畑仕事は慣れたものだ。
乱の間に農政官が作っていた肥料を使い、実験の場として利用している。見たところ作物の育ちも良さそうだ。
「神子よ。うまくいっているようだな」
「曹操様!」
「ついて来ちゃったんだ。びっくりさせたね」
「郭嘉から話は聞いていたが、一度この目で見てみたくてな」
「いつでもいらっしゃってください。曹操様の民ですもの」
「ちと、手狭になってきたようだな」
「ええ、最初は怖がってた子供たちも、噂をききつけて集まってきまして…もう受け入れられない人数なんです」
「医療研究室のほうも、薬作りを始めたらあっという間に狭くなってしまいましたし。陶器が作るなら職人の窯だけでは足りず…」
「ほかにもやりたいことがいっぱいあるんですが」
「ふむ…城をやろう。子桓に新しい領地を任せようと思っていたのだ。その城は戦で焼けてな。空っぽだ。石造りの建物だけは残っているから、少しずつ増築するといい。そこを学問の都にせい」
「城…城ひとつ、学校ですか…」
「足りぬか?」
「なんで…」
「お主の知恵に、わしも皆も希望をみているのだ。まあ、あの酒の褒美だと思っておけ」
「え、あれ、飲んだんですか!まだ試作品なのに!」
「いつものやつに少し混ぜてな。あれは癖になる。もっと作ってくれ」
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