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tueto hum pa

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グウェンダル まさか汚しているとでも

まさか汚しているとでも



年端もいかぬ少女を抱いている。グウェンダルは毎晩罪悪感に苛まれる。見た目の年も、生きた年数も、自分のそれと比べれば一瞬で過ぎ去るような、なにも知らない娘だった。まだ幼さを残す甘えた瞳を愛しくてたまらなく思いながら、飾らない愛を向けてくれる少女への感情は、彼の心を粟立たせる。彼の中に眠っていた激情に彼自身が驚いていた。

「どうしたのグウェンダル?眠れない?」
「いや、なんでもない」
「なんでもない顔じゃないなぁ」
「お前を…」
「まさか汚しているとでも」
「分かるよ。好きな人のことだもん」
「お前はまだ、とても若く、経験がない」
「自分の好きなものくらいわかるの!」

あのね、とまどかは身を起こした。白いからだが闇に浮かんで、あわててローブを羽織らせる。慎みがないわけではないが、彼女はまれにとても大胆な行動をとってグウェンダルを狼狽させるのだ。
まどかはグウェンダルの大きな手を握りしめ、頬ずりする。きめの細かい柔らかな頬は、外気に触れて少しひんやりとしていた。まどかは目を閉じて彼のゴツゴツとした手を感じていた。体温、皮膚の厚み、剣だこもペンだこもある。国を必死に守ってくれている人の手だった。愛おしさがまどかの胸から溢れてくる。愛情とは湧き上がる泉のようだった。

「わたしね、グウェンダルと手を繋いだりキスしたり、大好き。すごく気持ちいい。愛が伝わってきて、わたしの好きも循環するの。グウェンのおかげで自分のことも好きになる。安心できて、あったかくて、キレイな気持ちになってくの。汚れたことなんてないよ」

グウェンダルはそっと指先で彼女の頬をなぞった。小さくて柔らかい。少女の言葉は率直で飾り気がないぶん、真っ直ぐに伝わる。自分も同じだといいたかった。まどかの自分を想う気持ちが皮膚を通して伝わってくる。人と肌を重ねることがこんなにも心地よいものだったとは思ってもみなかった。
しかし臆病なグウェンダルは、まどかを独占させろと言えないのだ。年長者として常に下の者を優先してきた彼は、自分の希望より他者を優先してしまうきらいがある。多くの男たちが寄せるまどかへの想いに気付かないほど野暮な男ではないのだ。

「もっと年の近い男がよくはないのか」
「グウェン以外とキスしても、気持ちよくないよ」
「したのか?!」
「例えばのはなしだってば」
「ね、もう一回、抱いてくださる?」
「なんだその口調は」
「もう!照れ隠しよ」

唇を塞いだ。柔らかい口付けをする男だと思った。繊細で気遣いのある人だ。上に跨がって彼の首に顔をうずめる。香水をつけてもいないのに、甘いような香りがする。この匂いをかぐたびに、心の底から安心できる。麻薬のようだ。

「そんなこと思ってるんだったら、私が汚してあげる」
「こら、まどか、どこでそんなことを!」
「…いつも、グウェンがしてくれてることするの」
「うっ…」
「やだ、嬉しい!グウェン気持ちよくなってくれてるのね…」
「やめろ…まどか、女性がこんな真似…」
「わたしだってあなたのこと悦ばせたいの」
「うう…っ…」
「どうかな?気持ちい?」
「…ああ…気が狂いそうだ」
「わたしも…あぁ…グウェン…」

まどかはグウェンダルに跨がって、ゆっくりと腰を沈めた。くぐもった声がお互いから漏れる。グウェンダルは支えるように彼女の腰に手を回す。まどかはぎこちなく前後に小さく律動する。下から見上げる胸がプルプルと揺れる様は、えもいえぬ絶景だ。グウェンダルはなされるがままに我慢できなくなり、身を起こして女の顔をした恋人に口付けた。

「気持ちよくなかった?」
「まさか、もう我慢の限界だ」
「もう、わたしでグチャグチャにしてあげたかったのに」


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趙雲1

あれは不思議な感覚だった。雨の降りしきる視界の悪い夜だった。
血まみれの女性が視界に入った。重傷だが、まだ生きていたので、保護した。それだけだったのに、血の気のない青白い顔が頭から離れなかった。
虎牢関の前で、馬上の彼女をみたことがあった。戦場に女人を連れてきて、なおかつ剣を持たせるなんて不届きだと最初は思ったが、彼女の戦いに目を奪われた。それは勇気ある剣士だった。


まさか神子を保護することになろうとは考えても見なかったが、苦しむ彼女を楽にしたい一心で手当てを施した。前線の野営に、彼女を頼める者もなく、周りの兵には女性を保護したことは伏せておいた。
神子のびしょ濡れの服を脱がせる。湯で濡らした布で体を拭き、髪についた泥を落とすと、それが艶やかな黒髪だと分かった。背中にできた大きな傷に薬を塗り、包帯を巻いた。出来るだけ体を見ないように、触れないようにと頑張ったが、白い肌はきっと抱けばすべすべと心地よいだろう。柔らかな感触がずっと手に残っていた。

「あ…あれ、わたし…」
「!目が覚めましたか」
あの夜から数日、神子は眠り続けていた。まだ傷が痛むのだろう、神子は苦痛に顔を歪めた。
「安静にしていてください。まだ傷が治っていません。私は劉備軍の趙雲と申します。ここは私の幕です。虎牢関の外れであなたが倒れていたので、お連れしました」
神子は安堵の表情を見せた。少なからず信頼してくれたのだろう。ふっと、肩の力が抜けた様子に、どれだけの不安で戦場に立ったのだろうと胸がいたんだ。女人が剣を持ち、戦うなんて男の何倍も恐ろしい思いだろう。

「暁の神子殿とお見受けいたします。何故あのような場所で…」
「呂布と…呂布と戦っていたんです。別働隊として動いていたら、運悪く出会ってしまって…わたしを捕まえようとするので、必死に逃げて…」
「そこから先は覚えてません」
「そうでしたか。お辛い思いをされたことでしょう。早くお国もとと連絡をとって差し上げたいのですが、なにせ戦の最中です。いましばらくお待ちください。きっと無事にお返しします」
「ありがとうございます趙雲殿。わたし、真矢っていいます。」
神子はほころぶような笑みをみせた。ツボミが花ひらくような、心の美しい者だけができる柔らかい笑みだ。きっと曹家では大切に大切に愛されていたのだろう。趙雲は憧れのような淡い感情を抱いた。
日々、死と隣り合わせの戦場で暮らす趙雲は、女性にはこのように笑っていてほしいという理想のようなものがあった。豪華な衣服を纏っておらずとも、内面から輝くような温かい笑顔を守りたいといつも漠然と思い浮かべていた。

「しばらくはここで傷を癒やしてください。申し訳ありませんが、私以外、あなたがここにいることを知りません。男所帯ですので…その…不届き者がいないとも限りませんので…」
「…はい。幕から出ないようにします」
「狭苦しいところで申し訳ありません」
「とんでもない!こんな…保護していただいて…手当てまで…」
「いえ…あの、出来るだけ見ないようにはしているのですが、その…すぐに準備して包帯をとりかえます!少々お待ちを!」

真矢は趙雲の慌てように首をかしげたが、着ている上着の中をみて納得した。素肌に包帯が巻いてある。部下にも自分の存在を秘密にしているのだ、つまり趙雲が包帯を巻いてくれたことになる。そういえば、泥まみれで行き倒れた割に髪も体も清潔だ。申し訳ない気持ちと、恥ずかしい、情けない気持ちで真矢の顔も真っ赤に染まった。

「神子殿、薬をお持ちしました。その、灯りを落としますゆえ、傷を見せていただけますか。傷口が膿むといけませんから」
「ごめんなさい、お気を遣わせてばっかりで…あの、趙雲殿は私になにかするような方じゃないって、よく分かります!こんなに良くして下さってて、すごく感謝してるんです。恥ずかしいですけど、大丈夫です。自分ではできないし、どうかお手当よろしくお願いします」
「はっ、では、失礼します」
趙雲は部屋の灯りを最低限に絞り、真矢の上着をはいだ。血が乾いて、包帯をほどくたびにつらそうな声が漏れる。意識がある分、昨夜より辛いだろう。趙雲は濡らした布を傷口にあて、包帯をふやかしながらゆっくりとすすめた。ついでに身体の汗を拭ってやると、真矢は恥ずかしそうに俯いた。視線を合わせられない。女人の肌を見るのは初めてではないが、今までのどんな女とも違って見えた。火の光が揺れて、神子の肌がぼんやりと浮かび上がる。
これは、失敗だったなと趙雲は思った。光の下のほうがまだ健全だったかもしれない。邪な考えを神子に悟られぬよう、平静を装っていた。
「薬がしみます。声を出さないようにお気をつけください。」
「は、い」
神子はぐっと身体をかたくして、痛みをこらえた。弓なりにそる背中が細く頼りなく、趙雲はこの人の痛みを自分が代わってやれないことがつらかった。
「傷は痕も目立たないと思います。さすが呂布というべきか、切り口が鮮やかです。」
「傷なんて…」
「女人の肌を傷つけるなんて許せない…戦の犠牲になるのはいつも弱き者です。守るために戦うはずなのに」
「趙雲殿は…誰かを守りたかったんですね」
「ええ、そうです…守れなかった悔しさが忘れられません」
「優しいひと」
「失礼しました。…私は隣におりますので、ゆっくりお休みください」

神子の言葉が頭から離れなかった。守りたかったものと、自分が今日も奪っているもの。今斬った兵士にも大切な人がいただろう。無事を祈る妻や母親がいただろう。人を切る度に、平和のために戦う度に、人を殺すという矛盾を抱える。心に迷いがあれば、明日死ぬのは自分かもしれない。自分が死んでは劉備の築く平和の世が遠くなる。結局戦うことしか自分には出来ないし、自分がもし死んだときに悲しむ人を増やしたくないから、妻を持つ気にもならない。趙雲は自分のことを誠実だと評価していたが、優しいかといわれると疑問があった。しかし神子の言葉を聞いたとき、体に電流が走った。自分はずっと、優しくありたかったのだ。

「お帰りなさい趙雲殿。お怪我ありませんか?」
「はい、神子殿も傷の具合はいかがですか?」
「最初に比べると痛みも減ってきました。早く動きたいくらいです」
「お腹がすいたでしょう。多めに用意してもらいました。一緒に食べましょう」

「数日中に本隊と合流できそうです。そうしたら護衛と世話役をお付けできます。連合軍にも劉備殿から知らせを送っていただけるようにお願いするつもりです」
「趙雲殿とは…お別れなんですか?」
「神子殿?」
「あ、いえ、寂しいなって思って…」
「毎日お見舞いに参ります」
「すみません、なんだか心細くて、甘えすぎですね私」
「いえ!嬉しいのです!その、私は女人にどのように接すればいいのかよく分からず…私でよければ、もっと頼っていただけたら、嬉しいのです」
「わたしが、神子だから、優しくしてくれるんですか?」
「そんな!神子殿、私は、あなたがあなただからお守りしたいと思うんです。神子だからあなたは清浄なのかもしれないが、そのお心の美しさはあなた自身のものです…」
「わたし、自分が本当にみんなのいう神子ってやつなのか、分からないんです。特別な力なんかないし…だから、もし、神子じゃなかったら、みんなの期待に応えられないことがあったら、申し訳なくて」
「不安にさせてしまっていたんですね。神子殿…私はあなたは暁の神子だと感じます。しかし、もしそうでなかったとしても、あなたがあなたであることに変わりはありません。むしろ、神子でないほうが…私は…」
「え?」
「神子は戦場へ行く定めと聞きます。あなたが只人ならば、戦から遠い場所に守っていられる…大切に、危険から遠ざけて…慈しみたいと思うのです」
「そんな…そういうことは好きな女性に言ってあげてください。きっと嬉しいと思います」
「好きな女性…」
「そんなこと言われたら勘違いしちゃいますよ」
「あなたは、ひと目みたときから、私の女神です」
「え、趙雲殿」

無双 呉編3

「わたしたちもこの国にきたばかりなんです」
「お姉ちゃんは孫策様、わたしは周喩様と結婚したんだー」
「これで妹ともずっと一緒にいれますし、孫策様も周喩様も優しい方で、幸せです」
「変な動物もいるしね、退屈しないよ」
「周喩殿、お会いしました。すっごく綺麗でびっくりしました」
「孫策様はいま遠征中ですので、お帰りになられたらご挨拶に伺いますわ」
「遠征中ですか…心細くありませんか?」
「ええ、でも、小喬がいますから」
「周喩様がね、神子様と陸遜さまの結婚式を早くみたいっていってたよ。二人はそういう関係なの?」
「よく分からなくて…そうだったのかもしれません」
「まあ、そうですよね、大丈夫です!みんな、一番不安なのは神子様だってわかってます!もし思い出せなくても…ゆっくりまた仲良くなればいいと思います」
「ほら、噂をすれば…」
「なんの噂ですか?」
「ヒミツー」
「ご婦人には敵いませんね…神子の顔色もいいようですね、良かったら散策などいかがですか?」
「散策?」
「ええ、我が国の姫様は珍しい動物を集めていらっしゃいまして、今日はその動物園をご案内できたらなと」
「あ…動物ですか…好きなんです。さっき小喬さんから少し聞いて、行ってみたいなって思ってたんです」
「それは良かった。よろしければ、みんなでいきましょう。姫様は今日はご不在ですが、ご婦人がいらっしゃったほうが神子も心休まるでしょう」
「まあ、素敵ですね。お邪魔させていただきます」


「ほんと、珍しい動物ばっかり!南方の子たちですね」
「ええ、南蛮の国々から贈られたものや、姫様自ら狩ってきたものまで様々です」
「元気な方なんですね」
「ええ、それはおてんばで。きっと神子と気が合いますよ」
「早くお会いしたいです」
「陸遜さん!象がいます!」
「ええ、あれは戦場では馬のかわりに乗ったりもいたしますよ」
「乗れるんですか?」
「ふふふ、乗れますよ。でも私と一緒に乗ってください。心配で仕方がない」
「神子は馬もよく乗っていました。女性とは思えないほど上手で…」
「そうだったんですか?」
「ええ。もう少し元気になったら、馬で城を見渡せる丘にいきましょう。」
「はい」

「では神子、夜は冷えますから、暖かくしてお休みください」
「はい。陸遜さん、今日は楽しかったです。ありがとうございました」
「…神子は伯言と、お呼び下さい」
「伯言さん?」
「いいえ、ただの伯言と。私も真矢と呼びます」
「僕も今日はとても楽しかった。真矢、また明日会いにきます」
陸遜は驚いてなにも言えない真矢の手をとると、手のひら甲に口付けた。誘うような目。真矢はあたまが逆上せるようにあつくなった。まだ夜は冷えるのに、顔だけが熱い。
「おやすみなさい」
鮮やかに陸遜は去っていった。

無双パロ 呉篇2

「お体の調子はいかがですか?」
「陸遜さん」
「傷はきれいに治りましたね。良かった」
「きゃ…」
「あ、申し訳ありません。つい普段のようにしてしまいました。まだ思い出せませんか?」
「はい…ごめんなさい」
「いいえ、神子がここにいてくれるだけで私は満足なんです。記憶が戻らなくても構いません。生きていれば何度でもやり直せます」
「私は、陸遜さんとその、恋人だったんですか?」
「それは…どうでしょう。私の気持ちは伝わっていたのか…」
「え?」
「孫権様がお会いになりたいそうです。お取り次ぎしても構いませんか?」
「偉い方なんですか?」
「はい。この国の君主です」
「あの…なにも思い出せなくて…」
「お優しい方です。私から神子のこともご報告してありますから、安心してください。不安なら、私も同席します」
真矢はひどく頼りなげに着物の裾を掴んだ。この女性が本当にあの戦女神なのか。なんとも弱々しい、ごく普通の女にみえた。陸遜はいつか見た、馬上の真矢を思い出す。必死に、なんの疑いもなく、曹丕のために戦っていた。なんて神々しい女性だろうかと思ったのだ。
突然渦の中に彼女が現れたとき、奇跡がおきたと思った。一目で神子だとわかった。例えようのない興奮で体が震えた。陸遜はこれを幸運を手にした感動と解釈したが、彼はまだ恋を知らなかった。

「神子殿、お加減はいかがか?目が覚めたときいて安心しました」
「あの、わたし、なにも覚えてなくて…孫権さま?失礼があったら、申し訳ありません」
「とんでもない、まだゆっくり休まれてください。女性の寝室に無礼にもお邪魔しているのは私達のほうです」
「ここにいる者達のことは覚えていますか?あなたが今までなにをしていたか」
「いいえ…ごめんなさい」
「…あなたは客人としてこの呉で、過ごしていらっしゃった。この陸遜とは恋仲になり、海戦が終われば祝言をあげる予定でした」
「えっ」
「周喩殿、私は急ぎません。神子の回復が一番ですから」
「そうだな。神子殿、陸遜は私の一番目をかけている部下です。老婆心がすぎました」
「神子殿、城は自由にお使いください。陸遜をできるだけお側においておきます。分からないことは彼に聞いて、はやくお元気を取り戻してくださるよう」
「あ…りがとうございます」
なんだかよく分からない。なにか違和感がある。でも頭がハッキリしなくて、たしかにこの人たちの言うとおりだったような気もする。私は古代中国に召喚されて、好きな人にであって、その人と戦ってきた。その人が陸遜さんなんだろうか。
「さあ皆様、これ以上は神子のからだに障ります。またの機会に」

「神子、お食事はとれそうですか?しばらくなにも食べていませんから、軽いものを用意しています」
「あ、おなか、なっちゃった」
「ふふふ、可愛い人だ。口をあけてください」
「え、自分で食べられます」
「こんなときくらい世話をやかせてください。あなたはなんでも一人でしてしまうんですから」
「わたし、陸遜さんからみて、どんな人でしたか?」
「気高くて、強く、優しい、女神のような女性だと思いました。神に愛されるとはこういう人のことかと」
「すっごく恥ずかしいです…違う人じゃありません?」
「いまも、そのままですよ。はい、食べてください」
「おいしい…」
「厨房に伝えておきます。喜びますよ」
「陸遜さんって、優しいんですね」
「そうですか?」
「周りのかたに気を配るって、簡単そうで難しいな…」
「僕は人をまとめるのも仕事ですから」
「いっぱい食べられましたね。早く元気になれそうです。また夕餉をお持ちしますから、それまで眠ってください」

「だめよ小喬、起こしてしまいます」
「だってお姉ちゃん!私だって神子様とお話ししたいんだもん!」
「え…」
「あ、ほら、起こしちゃって申し訳ありません。私は大喬、こちらは妹の小喬です」
「はじめまして神子様!もう元気になったの?」
「え、ええ、もう大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」
「記憶をなくされたとお聞きしました…お気の毒に」
「ほんとに忘れちゃったの?ぜーんぶ?」
「全部じゃないんですけど、ここのことは全く覚えてなくて…ごめんなさい、お二人のことも…」
「大丈夫!わたしたちは初対面だからっ」
「女性が少ないから心細いかもって、陸遜さんがわたしたちに神子様のお話し相手をお願いしてきたの!」
「仲良くしてくださいね。」

グウェンダル

グレタをあやすグウェンダルをみて、子供がほしいなと思い始めた。年長者に囲まれて育ったわたしは、いいおとなになった今も子供気分が抜けず、また周囲もなんだかんだ世話をやいてくれるので自分はずっと子供のままだとなんとなく思っていたふしがある。おなかがすいたら誰かにおねだりすれば、好物を与えてもらえる。眠くなったら、誰かが部屋まで抱いて連れて行ってくれる。寂しくなれば、誰かにかまってもらえばいい。そんな愛情に恵まれた生き方をさせてもらっていたことに、ふと気がついた。
私の周りの女性というと、ツェリとアニシナで、ふたりとも個性的な生き方をしていて、一般的な人間関係を学ぶ機会はなかったかもしれない。男性は女性を守るものよと、ツェリの言葉をそんなものかと漠然と受け入れていた。周囲の男たちが優しく私をあやしてくれるのもそれが当たり前だと思っていた。
でも、そういえば、わたしが城で養育されることになった経緯は、父からの虐待だったと思い出した。

「ねえグウェンダル、子供すきなの?」
「…嫌いではない」
「かわいいよね」
「…そうだな」
「わたしのことも、グレタみたいにかまってくれてたの?ちっちゃい頃」
「そうだな。お前はヴォルフラムと年が近かったから、二人一遍に暴れるから大変だった」
「特にお前はよく泣いたな。もう怖い夢はみないのか?」
「昨日みたよ。それで、色々思い出したの」
「そうか。だからきたのか?」
「うん。あとね、子供がほしくなった」
「それは、唐突だな」
「父親はグウェンがいい」
「お、おい、マヤ」
「わたしもう大人だったよ。ずっと守られて、大人にならずにすんでた」
「私でいいのか?」
「グウェンがいい。多分、ずっと好きだった。グウェンもわたしのこと好き?」
「お前よりずっと昔から好きだと思う」
「キスして」
「もっと」
「いや、これ以上は」
「なんで?わたし子供ほしい」
「ちゃんと手順を踏んでだな、ギュンターにも挨拶をして、婚約をしてだな」
「ギュンターに挨拶!それすごく気が乗らないわね」
「ああ…殺されそうだ」
「秘密の逢い引きとかしてみたいから、挨拶はちょっと後回しにしましょうよ」
「夜、庭で会いましょう!」
「おい、マヤ」
「約束ね!夕飯のあとね!」

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