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tueto hum pa

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twilight ヴォルフラム

お見合い騒動の後、幼なじみの罵倒プロポーズが忘れられず、マヤはヴォルフラムに「なんか、好きかも」と告白をした。ヴォルフラムはユーリとの婚約を解消し、二人は晴れて恋仲となった。のだが、鉄壁の処女マヤは恋人になにをどう接していいのか分からない。


話し合いの末、恋愛小説を読んで、主人公と同じことをしてみることになった。貴族の娘が貴公子と出会い恋に落ちるというとてもありふれた設定だったが、ツェリおすすめのそれは、とても官能的な内容だった。マヤは途中で読むのを諦め、隣に座るヴォルフラムに本を渡した。

「エッチぃ…ハードル高いわ…」
「母上は初心者向けといっていたのだろう?」
「ヴォルフも読んでみてよ」
「なになに…ジークハルトはイーディケの唇に触れるような口づけをした。何度も何度も口づけが繰り返され、イーディケは全てを男に任せた。熱い吐息が交わり、深い口づけを交わすころには彼女の泉は溢れきっていた。姫君の潤む瞳と透き通るような肌の輝きに目を奪われたジークハルトはゆっくりとタイを外し、シャツを脱ぐ。鍛えられた美しい男の体をイーディケは恥ずかしそうに見上げると、ジークハルト様愛していますと囁いた。私も姫を愛しています。ジークハルトはイーディケを抱き寄せ、耳が湿るように囁いた。ペロリと首筋を舐めあげ、そのまま柔らかな乳房にキスを…どこが初心者向けなんだ…」

これが初心者向けというのなら、上級者である母はいったいどんなことをしているというのか。肉親のそういう場面は想像したくない。

「…ヴォルフ、後悔しない?」
「お前が…僕でいいというのなら…」
「随分弱気じゃない。あのときの罵倒プロポーズみたいにリードしてよ。ジークハルト様?」
「…無理だと思ったら言うんだぞ」
「ん…」

ヴォルフラムは小説のように、マヤの唇にそっと口づけた。マヤが目を閉じようしないので見つめ合ったまま何度も啄むようにキスをする。マヤの手に触れるとギュッと握り返された。ベッドの端に座ったままの二人は少しずつ身を寄せ合い、長い時間をかけてようやくマヤはヴォルフラムの胸に身を預けた。
彼女の重みが心地よいが、マヤの緊張が伝わってくるようだった。
「大丈夫か?」
「うん、変な感じ…」
「口を少し開けてくれ」
ん?とマヤがほんの少し唇を開くと、ヴォルフラムはそっとまた口づけた。彼の舌がその隙間をとおり、マヤの舌を絡め取る。ヌルッと初めての感触がした。生暖かく、柔らかい。驚いて彼から離れようとしたが、いつの間にか抱きしめられて、離してもらえなかった。長い口づけに酸素が足りなくなる。解放されたときには胸で呼吸するほどだった。
「く、くるし…」
「鼻で息ができるだろう」
「うるさいわね!びっくりして気が回らなかったのよ!」
「小説通りだぞ」
「だって」
「止めとくか?」
「…やだ、続けて…」
単純に興味本位もあったかもしれない。しかしいつものマヤならとっくに逃げ出していただろうなまめかしい行為に、今回は逃げなかった。マヤはヴォルフラムと愛し合いたいと願っていた。物心ついてから一緒に育った彼は、どんなときも側にいた。もしかしたらずっと昔から好きだったのかもしれない。自分の気持ちも彼の気持ちももっとよく知りたいと思った。

ヴォルフラムはマヤの寝間着を脱がせると、自分も服を脱いだ。お互い変わってしまった体を眺める。マヤは恥ずかしそうに身をシーツで隠した。
「隠したって、そのうち全部みるんだからな」
「やだ、ちょっと、休憩」
「はいはい、休憩しよう」
マヤは恥ずかしさのあまりベッドから逃げ出そうとしたが、ヴォルフラムに抱きすくめられて逃亡は失敗におわった。暴れて離れようとするが、上手くいかないどころか手足が絡み合って裸のまま抱き合う格好にされてしまった。
「逃げないんだろ?」
「逃げない…逃げない…」
「…このまま寝てしまってもいい。僕はお前が頑張ってくれたことがうれしい」
「ヴォルフ…」
「急ぐことじゃない。いつかマヤが僕を求めてくれるときがきたら…」
「ヴォルフ…好きだよ」
「ああ、僕もだ」
「ねぇ、小説の続き読んで。」
「イーディケは小さい嬌声をあげた。小鳥のような声はジークハルトの脳心に突き刺さる。彼は恋人の体を優しく愛撫し、胸の頂を口に含む。イーディケは自分の体がジークハルトを求めているのを感じていた。熱いなにかが彼女の下腹部をじんわりとあたため、トロトロと蜜を滴らせた。ジークハルトの男性が彼女の体にあたるたび、イーディケは彼が男だということを強く意識した。ジークハルトは姫君のつま先に口づけると、彼女の溢れる泉にキスをした。ペロペロとそこを舐めると、イーディケは初めての絶頂を迎えた。」
「交代だ」
「えっと…ジークハルトは愛を囁きながらその長い指を泉の中に押し入れる。ピクピクと脈打つ暖かなそこは、彼を受け入れ絡みつく。ゆっくりゆっくり、ジークハルトは解きほぐしていった。イーディケの肌は上気し、ピンク色に染まっている。ジークハルトは優しく唇に口づけた。姫、ひとつになりましょう。イーディケはコクリと頷いて彼の首に腕をまわす。男の高なりをゆっくり飲み込みながら、イーディケはその質量に息をのむ。愛する人とひとつになるとはこういうことなのか。姫君は瞳に涙を浮かべて愛しい人を見つめる。…」
「どうした?」
「ん…その、続き、しようよ…わたしもお腹のとこ…熱い」

ヴォルフラムは深く口づけると、そっとマヤの茂みに指を伸ばした。そこはイーディケの泉のように潤い、彼を誘った。
「こんなになってる」
びっしょりと濡れた指をヴォルフラムは舐めて見せた。マヤは顔を真っ赤にして彼にしがみつく。こんなにかわいいマヤは初めて見た。
「小説と違う…」
「ああ」
ごめん、とヴォルフラムはマヤのつま先に口づけた。そのまま足全体にキスを落とす。ビクビクと跳ねる体に割入って、足を大きく広げさせた。あまりの恥ずかしさにマヤは足を閉じようとするが、押さえられてどうしようもない。
「やだぁ恥ずかしいよ!!」
ヴォルフラムは初めてみるマヤの秘部に高なりを抑えられなかった。大丈夫だから、とよくわからない返事をしたとおもうと、そこを丁寧に舐めはじめた。ザラザラとした舌が薄い粘膜を行き来すると、マヤは甘い声を発した。
今すぐにでも入れてしまいたい。ヴォルフラムは堪らなく膨張した自身を感じていたが、グッとこらえた。かわりに指を差し入れると、肉壁がビクビクと痙攣した。
「やぁぁぁ!」
「マヤ、かわいいな…」
その姿がもっと見たくて、ヴォルフラムは中をかき回した。来るべきときに、出来るだけ痛くないようにと粘膜を伸ばすように優しく愛撫する。
「入ってもいいか?」
「ん…ヴォルフ…好き」
「僕も好きだ」
ヴォルフラムは腰をすすめた。ぬめっとした感覚に頭がおかしくなりそうだった。少しずつ少しずつ侵入すると、マヤは時折苦しげな声をあげる。痛いだろうか。
「痛いか?」
「平気…来て…」
温かい泉に全て呑み込まれる。絡みつくように締め付けられた。達してしまいそうだ。
ヴォルフラムはゆっくり出し入れすると、思いのほか甘い声がした。
「マヤ…愛してる」
「あ、あ、あ…ヴォルフ…」
正直こんなことになって驚いていた。あのちゃらんぽらんのようでお堅いマヤとこんなことが出来る日がくるなんて、青天の霹靂だ。マヤがかなり悩んでいたことは分かっていたが、さすが行動力のある女は取りかかりが早い。半ば興味本位もあっただろうが、それでも自分に愛情を向けてくれたことが嬉しかった。
微かに鉄の匂いが鼻につく。処女にこだわりはなかったが、マヤの初めての相手になれたことは誇らしい。胸のうちが熱くたぎる。
ヴォルフラムは無我夢中に、しかし出来るだけ丁寧にマヤを愛した。経験から言えば彼とて慣れたものではなかったが、愛しい人を気遣うことは心地よかった。
二人は愛を譫言のように囁きあいながら、事切れた。

「う…腰いた…」
朝の光とともに目覚めると、腰の疲労感と、ぐちゃぐちゃのまま眠ってしまった恋人が気持ちよさそうに眠っていた。自分も裸のままで、いろいろなんだかベタベタしている。夕べどうやって終わったのか覚えていないところをみると、行為の最中に意識を飛ばしてしまったのだろう。
「ヴォルフーお風呂はいらなきゃ、ねぇヴォルフってば」
揺すっても起きない美少年のバスタブに湯をはった。早くしないとメイドが起こしにきてしまう。マヤはヴォルフラムにキスをすると、飛び起きた彼と、早朝のバスタイムを満喫した。

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無双 曹丕

「司馬懿から聞いたのだが、傷病者を世話をしているそうだな」
「うん、あ、相談しなかったこと怒ってる?だって暇だったんだもん」
「よい。お前が来てから死者数が激減したと報告があった。神の力か?」
「違うよ。何度も言ってるでしょ、わたしはただの一般未来人。未来の衛生感覚で看病したり、お掃除してるだけなの」
「未来か。お前はいつも不思議なことを言う。きっとお前の生まれた国は平和な世界なのだろうな」
「そうだね。外国では戦争もあってたけど、わたしの周りは平和な毎日だったよ。」
「平和ボケしているわけだ」
「いーじゃない、平和ボケでも!あんたが戦バカなのよ」
「お前はそのまま平和ボケしていろ。私は戦バカだからな、お前くらいボケてないと気が休まらん」
「そばにいてって言えばいいのに、怖がりめ」
「失うことに慣れてしまったからな」
「全然慣れてないよ。そんなの、慣れないよ。いつだって失ったら悲しい」
「ほら、私はさ、未来人だけど、もうこの時代で生きるって決めたし、あんたが私のことは守ってくれるんでしょ?それに私、幸運の女神らしいし、心配しなくて大丈夫だよ」
「お前はどこからも狙われているから、心配なのだ」
「心配するほどモテないってば」
「今回の救護所のことでも、お前を狙う者が増えただろう。政治的にも、ひとりの女としてもな」
「でもわたし、人妻なんでしょ?しかも怖ーい太子様の。リスク高すぎて誰も手だせないよー」
「乱世とはそのようなものだ。人攫いも多いし、そもそも女は戦利品として側におくか、奴隷にするかだ。お前の国と同じと思うなよ」
「女性軽視もいいところね」
「腕の立つ女もいるが、やはり男に力では敵わぬからな。女は子を産み育て、兵を供給することが役目だ」
「な…!」
「と、お前に出会うまではそう思っていた。」
「頑固者の太子様が、お考えを変えられた…と?」
「一々うるさい女だな。だが、お前の考える策に我が軍は何度も助けられた。今もこうして多くの兵たちがお前のおかげで一命をとりとめている。戦うだけが人間の価値ではないのだと気付いた」
「後方支援や医兵としてならば女達も活躍できよう。親や夫を亡くして、貧窮している女達も多い。礼儀作法や家柄が問われる女官は無理でも、軍で使えば恩給もだせるというものだ」
「子桓…あんた意外といい指導者なのかも!考えを変えるってなかなか出来ないもん!すごいよ!」
「お前が変えさせたのだ。だからしっかり責任をとれ。この戦が終わり、国に戻ったら、医兵養成所を作るぞ。お前には医官たちとそこで女人兵の教育にあたってもらう。」

グウェンダル2

「夜のバラ園って素敵!ほら、月がとってもきれい」
「寒くはないか?そんな薄着で」
「ツェリに聞いたら、夜の逢い引きはナイトドレスでロマンチックにが鉄則らしいの」
「母上…」
「ねえ抱っこして!アーチの中まで連れてって」
「大人になったんじゃなかったのか?」
「大人の初心者なの!」
「グウェンが教えてくれるんでしょ?」
「…子ども扱いしないように気をつけよう」
「ふふ、いい気持ち。空気も寝静まってるわ。バラもつぼんでる。ふたりっきりよ」
「グウェン、好き。ずっと好き。もっと抱きしめて」
「本当に私でいいのか?やっぱり違ったなんてことがあったら、お前も困るだろうし、私も立ち直れない」
「グウェンに触れられて、わたし幸せだわ。…ほら、こんなに幸せ」
「なにがこんなになんだ」
「胸の奥が、キューってなって、一気に温かくなるのよ。血が全身を駆け巡るみたい。グウェンの気持ちはよく分からないけど、わたしはあなたといて幸せだわ」

グウェンダル まさか汚しているとでも

まさか汚しているとでも



年端もいかぬ少女を抱いている。グウェンダルは毎晩罪悪感に苛まれる。見た目の年も、生きた年数も、自分のそれと比べれば一瞬で過ぎ去るような、なにも知らない娘だった。まだ幼さを残す甘えた瞳を愛しくてたまらなく思いながら、飾らない愛を向けてくれる少女への感情は、彼の心を粟立たせる。彼の中に眠っていた激情に彼自身が驚いていた。

「どうしたのグウェンダル?眠れない?」
「いや、なんでもない」
「なんでもない顔じゃないなぁ」
「お前を…」
「まさか汚しているとでも」
「分かるよ。好きな人のことだもん」
「お前はまだ、とても若く、経験がない」
「自分の好きなものくらいわかるの!」

あのね、とまどかは身を起こした。白いからだが闇に浮かんで、あわててローブを羽織らせる。慎みがないわけではないが、彼女はまれにとても大胆な行動をとってグウェンダルを狼狽させるのだ。
まどかはグウェンダルの大きな手を握りしめ、頬ずりする。きめの細かい柔らかな頬は、外気に触れて少しひんやりとしていた。まどかは目を閉じて彼のゴツゴツとした手を感じていた。体温、皮膚の厚み、剣だこもペンだこもある。国を必死に守ってくれている人の手だった。愛おしさがまどかの胸から溢れてくる。愛情とは湧き上がる泉のようだった。

「わたしね、グウェンダルと手を繋いだりキスしたり、大好き。すごく気持ちいい。愛が伝わってきて、わたしの好きも循環するの。グウェンのおかげで自分のことも好きになる。安心できて、あったかくて、キレイな気持ちになってくの。汚れたことなんてないよ」

グウェンダルはそっと指先で彼女の頬をなぞった。小さくて柔らかい。少女の言葉は率直で飾り気がないぶん、真っ直ぐに伝わる。自分も同じだといいたかった。まどかの自分を想う気持ちが皮膚を通して伝わってくる。人と肌を重ねることがこんなにも心地よいものだったとは思ってもみなかった。
しかし臆病なグウェンダルは、まどかを独占させろと言えないのだ。年長者として常に下の者を優先してきた彼は、自分の希望より他者を優先してしまうきらいがある。多くの男たちが寄せるまどかへの想いに気付かないほど野暮な男ではないのだ。

「もっと年の近い男がよくはないのか」
「グウェン以外とキスしても、気持ちよくないよ」
「したのか?!」
「例えばのはなしだってば」
「ね、もう一回、抱いてくださる?」
「なんだその口調は」
「もう!照れ隠しよ」

唇を塞いだ。柔らかい口付けをする男だと思った。繊細で気遣いのある人だ。上に跨がって彼の首に顔をうずめる。香水をつけてもいないのに、甘いような香りがする。この匂いをかぐたびに、心の底から安心できる。麻薬のようだ。

「そんなこと思ってるんだったら、私が汚してあげる」
「こら、まどか、どこでそんなことを!」
「…いつも、グウェンがしてくれてることするの」
「うっ…」
「やだ、嬉しい!グウェン気持ちよくなってくれてるのね…」
「やめろ…まどか、女性がこんな真似…」
「わたしだってあなたのこと悦ばせたいの」
「うう…っ…」
「どうかな?気持ちい?」
「…ああ…気が狂いそうだ」
「わたしも…あぁ…グウェン…」

まどかはグウェンダルに跨がって、ゆっくりと腰を沈めた。くぐもった声がお互いから漏れる。グウェンダルは支えるように彼女の腰に手を回す。まどかはぎこちなく前後に小さく律動する。下から見上げる胸がプルプルと揺れる様は、えもいえぬ絶景だ。グウェンダルはなされるがままに我慢できなくなり、身を起こして女の顔をした恋人に口付けた。

「気持ちよくなかった?」
「まさか、もう我慢の限界だ」
「もう、わたしでグチャグチャにしてあげたかったのに」


こころのなかの鬼


こころの中の鬼

あるところに,とても美しい少女がいました。
少女は顔かたちだけでなく,心までとても美しく,なにより人の役に立てることに幸せを感じていました。

少女の住んでいる村には鬼がたくさんいました。
鬼たちは美しい少女のことをねたみ,いじわるをしたりします。
鬼はとても怖い顔をしていて,いつも嫉妬や憎悪でいっぱいだったので,
人の役にたちたいと思う少女のことがどうしても信じられません。
絶対に自分たちのように,こわい心を持っているはずと,少女に意地悪をくりかえします。

本当はわたしのことを嫌っているんでしょう?
なにかもらえると思って手伝っているんでしょう?
そんなにいい人に思われたいの?
あの子はまた人に媚をうってるよ。
きれいだと思って調子にのってるわ。

少女は重たい荷物を持っている鬼を助けたり,
「おはよう,今日もいい天気ですね」と話しかけたり,
おなかをすかせている人に自分のパンを分けて,一緒にたべているだけでした。

少女はあたりまえだと思ったことを,あたりまえにしているだけなのに,
鬼たちはこっそり,ときにははっきり,少女の悪口をいいます。

少女は思いました。
どうしてみんなひどいことをするのかしら。
きっとなにか辛いことがあったのね。
ひどいことをしてしまって,きっと今頃落ち込んでるわ。
ひどいことをされるのは悲しいけれど,わたしになにかを言うことでみんなが元気になれるなら,それでもいいのかもしれない。
辛いことがなくなったら,みんなきっと優しい人になるわ。

少女は毎日,鬼たちからの嫌がらせに耐えました。
でもどんなに時間が過ぎても,鬼たちが優しくなることはありませんでした。

鬼たちは,どうにかして少女から悪い言葉や,嫉妬や,憎悪をひきだそうと,一生懸命少女をいじめました。
でも少女はいつも美しい心で,優しい言葉をかけてくれます。
鬼は思いました。
これは,少女の表の顔なんだ,と。
裏の顔は自分たちと同じように,とても怖い顔をしているはずだと決めつけました。

少女は自分にもひとにも平等に,みんなに優しく生きてきたので,鬼が何をいっているのか理解できませんでした。

裏じゃどうおもってるんだか。

鬼たちは親切な少女にそういうようになりました。
少女はとても傷つきました。

そしてとうとう,少女は思ったのです。
鬼たちこそ,信じられないくらいひどいことをしているわ。
いつも私をいじめているわ。心が醜いのは鬼の方よ。
みんな,大嫌い。

少女は鏡にうつった自分の顔をみてハッとしました。
そこには鬼がうつっていたのです。
美しい顔が,憎しみに歪んで,とてもこわい鬼のような顔でした。
少女は泣いてしまいました。

わたしはなんて醜いんだろう。
なんてひどいことを思っているんだろう。
これでは自分をいじめていた鬼たちにそっくりじゃないか。

鬼になっている少女をみて,鬼たちはとても喜びました。

ほうら,やっぱりあの子も鬼だった。
あの子も自分たちと同じ鬼だった。
これでこの村には仲間しかいなくなったから,安心だ。

鬼たちは少女にはじめて優しい言葉をかけました。

どうして泣いているの?大丈夫?
これからみんなでご飯を食べるから,一緒にいこうよ。

少女はとてもうれしく思いました。
でも,もう昔のように,美しい心で笑えません。
この優しい鬼も,あとで自分の悪口をいうんだろうかと,心配しながら笑っています。

もう少女が心から笑える日がくることはありませんでした。
もう心から人の役にたちたいと思うこともありませんでした。

少女は鬼になってしまったのです。
あるとき,村に旅人がやってきました。
旅人は,昔の少女のようにとても美しい心をもった人でした。
そこで鬼たちは,旅人の醜い心を引き出そうと,またいじわるをします。
変におもった旅人はいいました。
どうして人の嫌がることをするんですか?
どうして人の美しい心を信じられないんですか?
どうしてみんな怖い顔をしているんですか?
世界は広いんですよ。美しい心をもったひともいれば,怖い心をもった人もいます。

少女はまたハッとしました。
旅人がいったことは,鬼になるまえの少女が思っていたことだったからです。
でも,それをどう言葉にしていいか分からず,ぼんやりと思っていたことでした。

少女は旅人にいいました。
私の心には鬼がいます。
それでも人を愛して生きることができるのでしょうか?

旅人はにこりと微笑みました。
もちろんです。
わたしの中にも鬼がいることでしょう。
でもわたしは人にやさしくすることが好きで,自分の美しい心が大好きです。
あなたの中の鬼も,ほら,小さくなっていませんか?

少女は鏡を見ました。
そこには以前の美しい少女が映っていました。
少女は旅人と村をでました。
ときおり,心の中の鬼が大きくなって,少女を苦しめます。
でも,少女はわかったのです。
誰の心の中にも鬼がいて,誰の心のなかにも優しい気持ちがあることを。
少女はむかしよりも幸せになりました。
自分のなかの鬼と,仲よくしていきたいと思いました。
むかしより,もっと,人にやさしくできるようになりました。

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