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サンクチュアリ 2
サンクチュアリ2
軽やかな拍手が聞こえた。振り返ると開けっ放しだった扉の横にシュナイゼルが少しかたい表情で立っていた。
「ではセイレーンはクロヴィスに任せるとしようか」
「殿下、拘束せよとのご命令ですが」
控えていた武官が控えめに告げる。クロヴィスとコーネリアは彼女を隠すように庇った。シュナイゼルは武官を右手で制すると、柔らかい声で部下たちにいった。
「彼女の処遇が決まるまで、ということだったし、クロヴィスが責任をもつと言っているんだ。陛下も納得してくださるよ」
皇位継承権までかけるのだからと、暗に仄めかす。
「クロヴィス、私とコーネリアが証人だ。二言はないね?」
「はい。セイレーンは私がもらいうけます」
「分かった。父上のことは私に任せて、君たちは宮でゆっくりしているんだよ」
事が落ち着くまで宮から出るな。そういう意味だろう。言われずとも首の皮一枚で守られている今の状況で軽々しい振る舞いはしない。
シュナイゼルの後を追ってコーネリアが退室すると、クロヴィスは長椅子に座り込んだ。緊張がとけて一気に疲れが押し寄せたのだろう。彼は本来駆け引きをするような人間ではない。
セラは額を拳に押し付け頭を抱えるクロヴィスの隣に腰を下ろした。彼の髪を撫でる。小さな声が聞こえた。
「君を…モノのように言ってすまなかった」
「こんなどさくさで求婚してすまなかった…セラは兄上の妃になるものだと諦めていたんだ…こんなことになるまで言えなかった」
「うん」
セラは優しく頬に口付ける。その温かさにクロヴィスはハッと顔をあげた。
「しってたよ」
「気付いていた?」
「気づくよ。ずっと一緒にいたんだから。…私も、ずっとクロヴィスをみてた」
「やっと言える。クロヴィス、ずっと好きだったわ」
「…私たちは両想いだったんだな」
「皇帝の妃になるより、クロヴィスの隣にいたかった。こんな形で叶うなんて、悲しいけど…うれしいと思ってしまう」
セラは縋るようにクロヴィスの胸に顔を押し付けた。震えている。クロヴィスはできるだけ優しく包み込んだ。
「父は…母は…無事でしょうか…あまりお加減がよくないと聞いていたのに…」
自分が人質なのはわかっていた。未来の皇后と言っても、とても危うい立場なのはわかっていたつもりだった。皇帝の気分ひとつで破ってしまえるほど脆い平和のためにブリタニアに身を売ったのか。
悔しさが溢れてくる。
ついには我が身を守るためにクロヴィスから大切なものを奪ってしまうかもしれない。
セラは自身の無力さに絶望した。
軽やかな拍手が聞こえた。振り返ると開けっ放しだった扉の横にシュナイゼルが少しかたい表情で立っていた。
「ではセイレーンはクロヴィスに任せるとしようか」
「殿下、拘束せよとのご命令ですが」
控えていた武官が控えめに告げる。クロヴィスとコーネリアは彼女を隠すように庇った。シュナイゼルは武官を右手で制すると、柔らかい声で部下たちにいった。
「彼女の処遇が決まるまで、ということだったし、クロヴィスが責任をもつと言っているんだ。陛下も納得してくださるよ」
皇位継承権までかけるのだからと、暗に仄めかす。
「クロヴィス、私とコーネリアが証人だ。二言はないね?」
「はい。セイレーンは私がもらいうけます」
「分かった。父上のことは私に任せて、君たちは宮でゆっくりしているんだよ」
事が落ち着くまで宮から出るな。そういう意味だろう。言われずとも首の皮一枚で守られている今の状況で軽々しい振る舞いはしない。
シュナイゼルの後を追ってコーネリアが退室すると、クロヴィスは長椅子に座り込んだ。緊張がとけて一気に疲れが押し寄せたのだろう。彼は本来駆け引きをするような人間ではない。
セラは額を拳に押し付け頭を抱えるクロヴィスの隣に腰を下ろした。彼の髪を撫でる。小さな声が聞こえた。
「君を…モノのように言ってすまなかった」
「こんなどさくさで求婚してすまなかった…セラは兄上の妃になるものだと諦めていたんだ…こんなことになるまで言えなかった」
「うん」
セラは優しく頬に口付ける。その温かさにクロヴィスはハッと顔をあげた。
「しってたよ」
「気付いていた?」
「気づくよ。ずっと一緒にいたんだから。…私も、ずっとクロヴィスをみてた」
「やっと言える。クロヴィス、ずっと好きだったわ」
「…私たちは両想いだったんだな」
「皇帝の妃になるより、クロヴィスの隣にいたかった。こんな形で叶うなんて、悲しいけど…うれしいと思ってしまう」
セラは縋るようにクロヴィスの胸に顔を押し付けた。震えている。クロヴィスはできるだけ優しく包み込んだ。
「父は…母は…無事でしょうか…あまりお加減がよくないと聞いていたのに…」
自分が人質なのはわかっていた。未来の皇后と言っても、とても危うい立場なのはわかっていたつもりだった。皇帝の気分ひとつで破ってしまえるほど脆い平和のためにブリタニアに身を売ったのか。
悔しさが溢れてくる。
ついには我が身を守るためにクロヴィスから大切なものを奪ってしまうかもしれない。
セラは自身の無力さに絶望した。
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サンクチュアリ シュナイゼル 1
セイレーン フォン ヘルツォーク
愛称セラ
ブルネット
碧眼
EUの公爵令嬢
クロヴィスの従妹
贄姫
セイレーン フォン ヘルツォークがブリタニアに迎えられたのは彼女の6歳の誕生日だった。
EUとブリタニアの友好条約の証として少女は全世界が見守る中、皇帝にお辞儀をする。
幼いながら貴族らしく膝を折り、恭しくドレスを広げる。覚悟を宿した強い瞳に皇宮は騒然となった。わずか6歳の少女が未来ある人生を犠牲にする決意をしている。
長かった戦争が終わる。幼い少女を生け贄にして戦争が終わるのだ。
「ブリタニアはそなたを歓迎する。両国の友好のため、また両国の繁栄のため、ブリタニアに仕えよ」
「イエス、ユア マジェスティ」
*prologue*
サンクチュアリ
セイレーンがブリタニアに渡って13年がすぎた。両国は友好関係を維持し続けており、未来の皇后として迎えられた公女は従兄にあたるクロヴィスの宮で何不自由なく育った。20歳になろうとしている少女はつまらなそうな顔でポーズをとっている。
「セラ!動くなよ、モデルなんだからじっとしていて」
「だってクロヴィス、もう飽きちゃった」
「もう少しだから、頼むよ。終わったら庭でお茶にするから」
セイレーンは小さくため息をつくと、困ったように微笑んで姿勢を正した。本日2作目にあたるクロヴィスの作品に付き合うことに決めたようだ。
「次はもっと楽なポーズにしてよ」
「君はどんなポーズでも美しいよ」
クロヴィスは目を細め筆を走らせた。
美しい従妹だ。ブルネットの髪がきめの細かい肌によく映える。いくら描いても彼女の輝きを絵に閉じこめることはできない。それ故何度も彼女を描いてしまう。クロヴィスの部屋はセイレーンの肖像画で溢れかえっている。
弟妹たちの絵はそれぞれの宮に贈ったりして数を減らしているのだが、彼女の絵はEUの実家に贈っても贈っても増え続けるのだ。
クロヴィスが筆を置いたそのとき、勢いよく扉が開いた。コーネリアが肩で息をしながら飛び込んでくる。
「クロヴィス!セラ!いるか?」
「姉上、そんなに急いでどうなさいました」
「落ち着いてきけ。父上がEUに侵攻を再開される」
「まさか。EUは友好国、それにセラはブリタニアに嫁ぐことが決まっているんですよ。急がずともはEUはブリタニアの領地になります」
ヘルツォーク公爵家はハプスブルクを源流にもつEUの大貴族だ。EUの80パーセントを統治し、絶大な発言力をもつ。一人娘のセイレーンがいずれは公爵家を継ぎ、その配偶者であるブリタニア皇帝が領地を統治することになるはずだった。将来的にはセイレーンの子がブリタニアを継ぐことになり、EUはブリタニア帝国の特別自治区となり世界を牽引する約束だった。
「コーネリア、そこにいるかい?」
「兄上!」
ロイヤルプライベート回線にシュナイゼルの姿が映し出された。彼も慌てた様子だ。コーネリアならクロヴィスのもとへ行くと踏んだのだろう。クロヴィスの回線で真っ先にコーネリアの名をだすところがさすがシュナイゼルだ。
「父上は侵攻を諦めてはくださらなかったよ。説得は不可能だ。なぜ今更EUなのか…」
「しかし兄上!セラがこちらに嫁ぐ以上…」
「落ち着きなさいコーネリア、私にも父上のお考えがわからないんだ。また連絡するから、君たちは周りを刺激しないように大人しくしていなさい。わかったね?」
通信が切れると沈黙が訪れた。宰相であるシュナイゼルがああ言うのだから侵攻は決定事項なのだろう。
クロヴィスはハッとしたように沈黙を破った。
「姉上、セラはどうなるのです。これでセラは敵国の娘…」
「過去にも幾度かある。皇后の話しは当然なくなる。人質として監禁されるか、殺されるか…殺されることはないだろうがそれも戦況次第だ」
「まさか」
「もう…逃げられぬだろうな。この宮の外に兵がいた」
逃がしてもやれないなんて。クロヴィスは唇を噛んだ。
「いいのよクロヴィス。今までが平和すぎたの。私は人質としてここにきた。覚悟はとっくにできてる」
セイレーンはひどく落ち着いていた。当人がこんなに冷静なのに、自分たちが取り乱していては話しにならない。クロヴィスは激昂する胸を押さえつけ、彼女を抱き寄せた。大切な従妹。他にだれが彼女を守れるというのだろう。
クロヴィスは冷え切ったセイレーンの唇に口付けた。
「セラ、私と結婚してください」
「クロヴィス今はそんな…」
「私はこれでも第三皇子。私の妻になればわざわざセラを監禁しようとは思わないでしょう」
「しかし、それでは…」
「それでは貴方の皇位継承は不可能になります。クロヴィス、わたしのために失っていいものではありません。おば様も悲しまれる」
母の悲しむ顔が浮かんだ。第三皇子を産んだことだけが心の支えのような方だが、セイレーンの命にはかえられない。
「どの道、シュナイゼル兄上がいるかぎり皇帝の座など手にはいりはしないよ。それに私には政治は向いていない。それでも許されないというなら皇位継承権を返上する」
「クロヴィス!」
「それなら父上も許してくださるはずだ。セラ、今まで君には守られてばかりだった。こんな時くらい、守らせてほしい」
クロヴィスは幼いころから2つ年下の彼女になにかと助けられてきた。失言のフォローや、兄弟にからかわれたときにセイレーンだけはクロヴィスの味方をしてくれた。年下の女の子に庇われるのは情けなかったが、芸術家肌で係争が苦手だったクロヴィスにはありがたかった。
ようやくセラを守ることができる。父より母より、ほかの兄弟たちより大切な従妹。叶いもしない皇位継承権なんて惜しくはなかった。
「愛してるんだ。ただのクロヴィスになるかもしれない。けれど君を幸せにすると誓うよ…」
跪いて白い繊手に口付ける。いつの間にか部屋の入り口にはシュナイゼルが部下をひきつれて立っていた。
セラは小さく「はい」と答えた。
愛称セラ
ブルネット
碧眼
EUの公爵令嬢
クロヴィスの従妹
贄姫
セイレーン フォン ヘルツォークがブリタニアに迎えられたのは彼女の6歳の誕生日だった。
EUとブリタニアの友好条約の証として少女は全世界が見守る中、皇帝にお辞儀をする。
幼いながら貴族らしく膝を折り、恭しくドレスを広げる。覚悟を宿した強い瞳に皇宮は騒然となった。わずか6歳の少女が未来ある人生を犠牲にする決意をしている。
長かった戦争が終わる。幼い少女を生け贄にして戦争が終わるのだ。
「ブリタニアはそなたを歓迎する。両国の友好のため、また両国の繁栄のため、ブリタニアに仕えよ」
「イエス、ユア マジェスティ」
*prologue*
サンクチュアリ
セイレーンがブリタニアに渡って13年がすぎた。両国は友好関係を維持し続けており、未来の皇后として迎えられた公女は従兄にあたるクロヴィスの宮で何不自由なく育った。20歳になろうとしている少女はつまらなそうな顔でポーズをとっている。
「セラ!動くなよ、モデルなんだからじっとしていて」
「だってクロヴィス、もう飽きちゃった」
「もう少しだから、頼むよ。終わったら庭でお茶にするから」
セイレーンは小さくため息をつくと、困ったように微笑んで姿勢を正した。本日2作目にあたるクロヴィスの作品に付き合うことに決めたようだ。
「次はもっと楽なポーズにしてよ」
「君はどんなポーズでも美しいよ」
クロヴィスは目を細め筆を走らせた。
美しい従妹だ。ブルネットの髪がきめの細かい肌によく映える。いくら描いても彼女の輝きを絵に閉じこめることはできない。それ故何度も彼女を描いてしまう。クロヴィスの部屋はセイレーンの肖像画で溢れかえっている。
弟妹たちの絵はそれぞれの宮に贈ったりして数を減らしているのだが、彼女の絵はEUの実家に贈っても贈っても増え続けるのだ。
クロヴィスが筆を置いたそのとき、勢いよく扉が開いた。コーネリアが肩で息をしながら飛び込んでくる。
「クロヴィス!セラ!いるか?」
「姉上、そんなに急いでどうなさいました」
「落ち着いてきけ。父上がEUに侵攻を再開される」
「まさか。EUは友好国、それにセラはブリタニアに嫁ぐことが決まっているんですよ。急がずともはEUはブリタニアの領地になります」
ヘルツォーク公爵家はハプスブルクを源流にもつEUの大貴族だ。EUの80パーセントを統治し、絶大な発言力をもつ。一人娘のセイレーンがいずれは公爵家を継ぎ、その配偶者であるブリタニア皇帝が領地を統治することになるはずだった。将来的にはセイレーンの子がブリタニアを継ぐことになり、EUはブリタニア帝国の特別自治区となり世界を牽引する約束だった。
「コーネリア、そこにいるかい?」
「兄上!」
ロイヤルプライベート回線にシュナイゼルの姿が映し出された。彼も慌てた様子だ。コーネリアならクロヴィスのもとへ行くと踏んだのだろう。クロヴィスの回線で真っ先にコーネリアの名をだすところがさすがシュナイゼルだ。
「父上は侵攻を諦めてはくださらなかったよ。説得は不可能だ。なぜ今更EUなのか…」
「しかし兄上!セラがこちらに嫁ぐ以上…」
「落ち着きなさいコーネリア、私にも父上のお考えがわからないんだ。また連絡するから、君たちは周りを刺激しないように大人しくしていなさい。わかったね?」
通信が切れると沈黙が訪れた。宰相であるシュナイゼルがああ言うのだから侵攻は決定事項なのだろう。
クロヴィスはハッとしたように沈黙を破った。
「姉上、セラはどうなるのです。これでセラは敵国の娘…」
「過去にも幾度かある。皇后の話しは当然なくなる。人質として監禁されるか、殺されるか…殺されることはないだろうがそれも戦況次第だ」
「まさか」
「もう…逃げられぬだろうな。この宮の外に兵がいた」
逃がしてもやれないなんて。クロヴィスは唇を噛んだ。
「いいのよクロヴィス。今までが平和すぎたの。私は人質としてここにきた。覚悟はとっくにできてる」
セイレーンはひどく落ち着いていた。当人がこんなに冷静なのに、自分たちが取り乱していては話しにならない。クロヴィスは激昂する胸を押さえつけ、彼女を抱き寄せた。大切な従妹。他にだれが彼女を守れるというのだろう。
クロヴィスは冷え切ったセイレーンの唇に口付けた。
「セラ、私と結婚してください」
「クロヴィス今はそんな…」
「私はこれでも第三皇子。私の妻になればわざわざセラを監禁しようとは思わないでしょう」
「しかし、それでは…」
「それでは貴方の皇位継承は不可能になります。クロヴィス、わたしのために失っていいものではありません。おば様も悲しまれる」
母の悲しむ顔が浮かんだ。第三皇子を産んだことだけが心の支えのような方だが、セイレーンの命にはかえられない。
「どの道、シュナイゼル兄上がいるかぎり皇帝の座など手にはいりはしないよ。それに私には政治は向いていない。それでも許されないというなら皇位継承権を返上する」
「クロヴィス!」
「それなら父上も許してくださるはずだ。セラ、今まで君には守られてばかりだった。こんな時くらい、守らせてほしい」
クロヴィスは幼いころから2つ年下の彼女になにかと助けられてきた。失言のフォローや、兄弟にからかわれたときにセイレーンだけはクロヴィスの味方をしてくれた。年下の女の子に庇われるのは情けなかったが、芸術家肌で係争が苦手だったクロヴィスにはありがたかった。
ようやくセラを守ることができる。父より母より、ほかの兄弟たちより大切な従妹。叶いもしない皇位継承権なんて惜しくはなかった。
「愛してるんだ。ただのクロヴィスになるかもしれない。けれど君を幸せにすると誓うよ…」
跪いて白い繊手に口付ける。いつの間にか部屋の入り口にはシュナイゼルが部下をひきつれて立っていた。
セラは小さく「はい」と答えた。
かわいいだけじゃないんです
魔王ヒロイン
ヴォルフラム
マにめ終了後
陛下totoはヴォルフラムの勝利
わたしのかわいい人続き
かわいいだけじゃないんです
落ち着かない。ユーリは妙に緊張していた。今日は朝から晩まで一日中ソワソワアタフタしていて普段しないような失敗ばかりしてしまった。コンラートはよそよそしいし、メイドたちからは熱い視線を向けられるし、ツェリ様はわざわざわたくしの息子をよろしく、なんていいにくるし、とても居心地がわるかった。小学生や中学生が「やーいお前あいつとチューしてただろ~」と言われてなんとも嫌な雰囲気になるアレににている。
しかし色めきだって興味津々の周囲をまったく意に介せず、平然とすごしていたヴォルフラムはさすがは元王子様なのか、ただの年の功なのか。こっちはやけに意識してしまうのに、なんでもない風のヴォルフラムには少し寂しさを覚えた。
ユーリは今日はさっさと寝ようとベッドにもぐった。早く眠って自分の気持ちをリセットしたい。
「もう寝るのか?」
「う、うん。ちょっと疲れたかなーって…」
いつもは夜中に勝手にベッドに入ってくるくせに今夜はまだユーリが起きている時間にやってきた。それになんだかよそよそしい。ユーリは羽根布団を顔まで引き上げて、広いベッドをポンポンと叩いた。
「おいでよヴォルフラム。冷えちゅうよ。冷えは美容の大敵ってね」
「あぁ」
ヴォルフラムはゴソゴソと布団に潜り込み、ユーリの手を握った。温かな手がユーリの緊張を解いていく。いつの間にか冷えていた手のひらが温度を思い出した。なんだか安心する。
「ヴォルフラムの手…気持ちいいね」
「あまり体を冷やすな。風邪をひくぞ」
「大丈夫だよ。わたしは元気だけが取り柄…」
ユーリが振り向いて笑いかけると、ヴォルフラムはひどく傷ついたような顔をしていた。なにも泣かせるようなことはしていない。ユーリは驚いて言葉を失った。
「ユーリ…今日のお前は変だった。僕を避けているようだったし、ずっと居心地の悪そうな顔をしていた」
「それは…朝の、コンラッドに見られたから…恥ずかしくて、どうしたらいいのかわかんなかったの!」
「コンラートに見られたら都合が悪いのか?!」
「誰にみられても恥ずかしいです…わたしの国じゃ、チューとか抱きついたりとかは人前じゃしないんだよ」
ユーリは昼間のことを思い出す。戸惑っている自分の横で、ヴォルフラムは平然と優雅に食事をとっていた。まるで彼は無関係のような態度だった。腹が立つ。
「ヴォルフラムこそ!涼しい顔してさ!わたしだけドキドキしてるみたいで、寂しかったんだよ。いつものあんたならベタベタしてきたりニヤニヤしたりするはずじゃん」
「それは…お前が、嫌そうだったから…朝は受け入れてくれたのにいきなりよそよそしくなったお前が…」
「わたしは!彼氏いない歴年齢なの!ヴォルフラムは経験豊富でわたしの何倍も生きてるし、さぞやモテモテライフだったんでしょうよ!リードしてくれてもいいでしょ!」
ユーリのあまりの威勢にヴォルフラムは彼女を抱きしめた。それ以外彼女を落ち着かせる方法が思いつかなかったのだ。力いっぱい抱きしめながら、叫び続けるユーリに負けないよう、彼も叫んだ。
「悪かった!僕が悪かった!コンラートに嫉妬していたんだ!すまないユーリ、愛している!」
「ほんと…?」
あぁ本当だ。ヴォルフラムはユーリの首筋にこくんと頷いた。ユーリも落ち着いたのか、そっと彼の背に腕を回し抱きしめた。ぎゅっ、としがみつく。ヴォルフラムも回した腕に力をこめた。
「ね、もっかいキスして?」
「キスだけですむと思うなよ」
「え、いや、そこはゆっくり恋のABCを育んで…」
「十分育んだ!大丈夫だ、朝まで邪魔者はこないからゆっくりできるぞ」
「できるぞってなに!なにができちゃうの」
終わり
ヴォルフラム
マにめ終了後
陛下totoはヴォルフラムの勝利
わたしのかわいい人続き
かわいいだけじゃないんです
落ち着かない。ユーリは妙に緊張していた。今日は朝から晩まで一日中ソワソワアタフタしていて普段しないような失敗ばかりしてしまった。コンラートはよそよそしいし、メイドたちからは熱い視線を向けられるし、ツェリ様はわざわざわたくしの息子をよろしく、なんていいにくるし、とても居心地がわるかった。小学生や中学生が「やーいお前あいつとチューしてただろ~」と言われてなんとも嫌な雰囲気になるアレににている。
しかし色めきだって興味津々の周囲をまったく意に介せず、平然とすごしていたヴォルフラムはさすがは元王子様なのか、ただの年の功なのか。こっちはやけに意識してしまうのに、なんでもない風のヴォルフラムには少し寂しさを覚えた。
ユーリは今日はさっさと寝ようとベッドにもぐった。早く眠って自分の気持ちをリセットしたい。
「もう寝るのか?」
「う、うん。ちょっと疲れたかなーって…」
いつもは夜中に勝手にベッドに入ってくるくせに今夜はまだユーリが起きている時間にやってきた。それになんだかよそよそしい。ユーリは羽根布団を顔まで引き上げて、広いベッドをポンポンと叩いた。
「おいでよヴォルフラム。冷えちゅうよ。冷えは美容の大敵ってね」
「あぁ」
ヴォルフラムはゴソゴソと布団に潜り込み、ユーリの手を握った。温かな手がユーリの緊張を解いていく。いつの間にか冷えていた手のひらが温度を思い出した。なんだか安心する。
「ヴォルフラムの手…気持ちいいね」
「あまり体を冷やすな。風邪をひくぞ」
「大丈夫だよ。わたしは元気だけが取り柄…」
ユーリが振り向いて笑いかけると、ヴォルフラムはひどく傷ついたような顔をしていた。なにも泣かせるようなことはしていない。ユーリは驚いて言葉を失った。
「ユーリ…今日のお前は変だった。僕を避けているようだったし、ずっと居心地の悪そうな顔をしていた」
「それは…朝の、コンラッドに見られたから…恥ずかしくて、どうしたらいいのかわかんなかったの!」
「コンラートに見られたら都合が悪いのか?!」
「誰にみられても恥ずかしいです…わたしの国じゃ、チューとか抱きついたりとかは人前じゃしないんだよ」
ユーリは昼間のことを思い出す。戸惑っている自分の横で、ヴォルフラムは平然と優雅に食事をとっていた。まるで彼は無関係のような態度だった。腹が立つ。
「ヴォルフラムこそ!涼しい顔してさ!わたしだけドキドキしてるみたいで、寂しかったんだよ。いつものあんたならベタベタしてきたりニヤニヤしたりするはずじゃん」
「それは…お前が、嫌そうだったから…朝は受け入れてくれたのにいきなりよそよそしくなったお前が…」
「わたしは!彼氏いない歴年齢なの!ヴォルフラムは経験豊富でわたしの何倍も生きてるし、さぞやモテモテライフだったんでしょうよ!リードしてくれてもいいでしょ!」
ユーリのあまりの威勢にヴォルフラムは彼女を抱きしめた。それ以外彼女を落ち着かせる方法が思いつかなかったのだ。力いっぱい抱きしめながら、叫び続けるユーリに負けないよう、彼も叫んだ。
「悪かった!僕が悪かった!コンラートに嫉妬していたんだ!すまないユーリ、愛している!」
「ほんと…?」
あぁ本当だ。ヴォルフラムはユーリの首筋にこくんと頷いた。ユーリも落ち着いたのか、そっと彼の背に腕を回し抱きしめた。ぎゅっ、としがみつく。ヴォルフラムも回した腕に力をこめた。
「ね、もっかいキスして?」
「キスだけですむと思うなよ」
「え、いや、そこはゆっくり恋のABCを育んで…」
「十分育んだ!大丈夫だ、朝まで邪魔者はこないからゆっくりできるぞ」
「できるぞってなに!なにができちゃうの」
終わり
わたしのかわいい人
マ王ヒロイン
ヴォルフラム
自分よりきれいで可愛くて天使みたいな婚約者
わたしのかわいい人
ドスッという音で目が覚めた。音の発生源はユーリだ。いつの間にかベッドに侵入していたヴォルフラムに蹴り落とされたようだ。なんという寝相の悪さだろう。
「もー…ヴォルフラム…あんた何度わたしを蹴落とせば気が済むのよ!」
「ん…ユーリ…逃げるなへなちょこ…」
文句ついでにたたき起こしてジョギングに付き合わせようと、ブランケットを剥ぎ取ったのだが、肌寒かったのかヴォルフラムはユーリの手を捕まえて引っ張った。細い腕してどこからそんな力がでるのだろう。グヘっと間抜けな声がでたと思うと、ユーリはヴォルフラムに組みひかれるように抱きしめられていた。
いい匂いがする。
男の子ってみんなこんな匂いがするんだろうか。甘いのに、優しくて、安心する…ママは男の子なんてムサいだけって言ってたけど、ヴォルフラムはすごくいい匂いだ。
「って違う!ちょっと!ヴォルフラム!起きてよー!重い~」
「愛してるぞユーリ…むにゃむにゃ」
ヴォルフラムはユーリを抱き枕のように抱きしめて放そうとしない。ノーブラの胸に顔を押し当てられて、恥ずかしくて死にそうだ。気持ちいいのか時折顔を猫のように擦り付けてくる。
ユーリは何度も抵抗を試みるが低血圧のこの男は起きる気配すらない。なんとか首だけそらし時計をみると、コンラッドが起こしに来るまでまだ一時間はあった。しかし今彼に来てもらっても状況説明に困る。おっぱいパブ状態なんて誰にも見せられない。かといってヴォルフラムをどうにかできるわけもない。
仕方ないなぁ…
ユーリはむにゃむにゃいっているヴォルフラムの金髪を撫でた。絡まってしまった髪を優しく梳いてあげると、毛先がくるんとカールした。かわいい。
「ヴォルフラム…早く起きなきゃコンラッドに見つかっちゃうよ?あっという間に国中に噂が広がるよー」
返事はない。胸の中で気持ち良さそうな寝息が聞こえた。
天蓋についている鏡には、天使のような男の子と、アジア系平均並な女の子がうつっている。こちらの人はみなこの容姿を褒めてくれるが、ヴォルフラムのほうが絶対何倍も綺麗だしかわいい。
ユーリだって「ばっちりした目がかわいいね」くらいは言ってもらえるが、それ以上も以下もないのだ。愛嬌で勝負だと自分に言い聞かせて5年くらい。
自分よりかわいい婚約者ってどうなの?かわいい上に最近はわがままプー卒業して男前になった。魔王とはいえ平均的な日本人で特別秀でたものもなく、猪突猛進なわたしでは釣り合ってない気がする。
くやしい…
ユーリはぎゅっとヴォルフラムを抱きしめた。
「くやしいよ…ヴォルフラムに似合う女になりたい…」
「僕たちは十分お似合いだろ」
ユーリの視界が反転した。横抱きにされていたのに今は押し倒されたようにヴォルフラムの顔が真上にあった。それがゆっくり近づいてきたと思うと、唇が重なり何度も啄まれる。金の髪が朝日をうけて輝いているようにみえた。
「ちょっと、起きてたの?!」
「お前が抱きしめてくれたから、目が覚めたんだ。僕もお前が好きだと伝えなければと」
ヴォルフラムは言葉の合間合間にキスの雨を降らせる。まぶたや頬や鼻のてっぺんにちゅっちゅと優しくキスをする。こんなにキスをされたのは初めてだった。毎晩夜這いといっては同じベッドで寝ているが、ヴォルフラムは言葉通り睡眠以外なにもしなかったし、キスなんてしたのも今回が初めてだった。
「ユーリは僕が選んだ伴侶だぞ。もっと自信をもて。お前は外見も美しいが、それよりもお前の心が美しいんだ」
「朝っぱらからなんて恥ずかしいセリフを…」
「婚約者に愛を伝えてなにが悪い」
ヴォルフラムは嬉しそうに微笑んでユーリをぎゅっと抱きしめた。ユーリが彼を受け入れたことが低血圧さえ吹き飛ばしたらしい。ユーリは戸惑ったが、今までみたこともないほどの喜びを示す元王子様をもう一度強く抱きしめた。
「愛してる」
END
お★ま★け★
コンコン…
「おはようございますユーリ、ヴォルフラム…」
「「あ」」
「…これは失礼」
コンラートは爽やかな笑顔を残して去っていった。
★★★
マにめ派です
天蓋の鏡…ツェリ様設計のベッドだから
グレタ…留学中
パジャマ…ユーリはかわいいネグリジェパジャマ(ズボン)。ヴォルフラムは上裸下ズボン。
ヴォルフラム
自分よりきれいで可愛くて天使みたいな婚約者
わたしのかわいい人
ドスッという音で目が覚めた。音の発生源はユーリだ。いつの間にかベッドに侵入していたヴォルフラムに蹴り落とされたようだ。なんという寝相の悪さだろう。
「もー…ヴォルフラム…あんた何度わたしを蹴落とせば気が済むのよ!」
「ん…ユーリ…逃げるなへなちょこ…」
文句ついでにたたき起こしてジョギングに付き合わせようと、ブランケットを剥ぎ取ったのだが、肌寒かったのかヴォルフラムはユーリの手を捕まえて引っ張った。細い腕してどこからそんな力がでるのだろう。グヘっと間抜けな声がでたと思うと、ユーリはヴォルフラムに組みひかれるように抱きしめられていた。
いい匂いがする。
男の子ってみんなこんな匂いがするんだろうか。甘いのに、優しくて、安心する…ママは男の子なんてムサいだけって言ってたけど、ヴォルフラムはすごくいい匂いだ。
「って違う!ちょっと!ヴォルフラム!起きてよー!重い~」
「愛してるぞユーリ…むにゃむにゃ」
ヴォルフラムはユーリを抱き枕のように抱きしめて放そうとしない。ノーブラの胸に顔を押し当てられて、恥ずかしくて死にそうだ。気持ちいいのか時折顔を猫のように擦り付けてくる。
ユーリは何度も抵抗を試みるが低血圧のこの男は起きる気配すらない。なんとか首だけそらし時計をみると、コンラッドが起こしに来るまでまだ一時間はあった。しかし今彼に来てもらっても状況説明に困る。おっぱいパブ状態なんて誰にも見せられない。かといってヴォルフラムをどうにかできるわけもない。
仕方ないなぁ…
ユーリはむにゃむにゃいっているヴォルフラムの金髪を撫でた。絡まってしまった髪を優しく梳いてあげると、毛先がくるんとカールした。かわいい。
「ヴォルフラム…早く起きなきゃコンラッドに見つかっちゃうよ?あっという間に国中に噂が広がるよー」
返事はない。胸の中で気持ち良さそうな寝息が聞こえた。
天蓋についている鏡には、天使のような男の子と、アジア系平均並な女の子がうつっている。こちらの人はみなこの容姿を褒めてくれるが、ヴォルフラムのほうが絶対何倍も綺麗だしかわいい。
ユーリだって「ばっちりした目がかわいいね」くらいは言ってもらえるが、それ以上も以下もないのだ。愛嬌で勝負だと自分に言い聞かせて5年くらい。
自分よりかわいい婚約者ってどうなの?かわいい上に最近はわがままプー卒業して男前になった。魔王とはいえ平均的な日本人で特別秀でたものもなく、猪突猛進なわたしでは釣り合ってない気がする。
くやしい…
ユーリはぎゅっとヴォルフラムを抱きしめた。
「くやしいよ…ヴォルフラムに似合う女になりたい…」
「僕たちは十分お似合いだろ」
ユーリの視界が反転した。横抱きにされていたのに今は押し倒されたようにヴォルフラムの顔が真上にあった。それがゆっくり近づいてきたと思うと、唇が重なり何度も啄まれる。金の髪が朝日をうけて輝いているようにみえた。
「ちょっと、起きてたの?!」
「お前が抱きしめてくれたから、目が覚めたんだ。僕もお前が好きだと伝えなければと」
ヴォルフラムは言葉の合間合間にキスの雨を降らせる。まぶたや頬や鼻のてっぺんにちゅっちゅと優しくキスをする。こんなにキスをされたのは初めてだった。毎晩夜這いといっては同じベッドで寝ているが、ヴォルフラムは言葉通り睡眠以外なにもしなかったし、キスなんてしたのも今回が初めてだった。
「ユーリは僕が選んだ伴侶だぞ。もっと自信をもて。お前は外見も美しいが、それよりもお前の心が美しいんだ」
「朝っぱらからなんて恥ずかしいセリフを…」
「婚約者に愛を伝えてなにが悪い」
ヴォルフラムは嬉しそうに微笑んでユーリをぎゅっと抱きしめた。ユーリが彼を受け入れたことが低血圧さえ吹き飛ばしたらしい。ユーリは戸惑ったが、今までみたこともないほどの喜びを示す元王子様をもう一度強く抱きしめた。
「愛してる」
END
お★ま★け★
コンコン…
「おはようございますユーリ、ヴォルフラム…」
「「あ」」
「…これは失礼」
コンラートは爽やかな笑顔を残して去っていった。
★★★
マにめ派です
天蓋の鏡…ツェリ様設計のベッドだから
グレタ…留学中
パジャマ…ユーリはかわいいネグリジェパジャマ(ズボン)。ヴォルフラムは上裸下ズボン。
コンラート
「ねぇヨザ…相談にのってくれない?」
ヨザックはマヤと酒場にいた。多忙な二人だが時おり時間が合ったときにはこうして城下で気が済むまで飲み明かす、飲み友なのだ。身分に差はあるが混血同士居心地が良い。平民出身のマヤにとって、彼の気安さは一時の息抜きとなる。
「どうしたのマヤちゃん。恋の話かしらん」
「そうそう」
「なになに?隊長の夜がすごすぎて寝不足なの~とかなら勘弁してよ~」
「いや、逆ぎゃく。私たちスッゴい清らかなの」
「嘘だろ?いつも迷惑なくらいイチャイチャラブラブのくせに…」
「でしょ!わたし、楽しみにしてるのに、もう半年!わたしまだ清らか!わたし…魅力ないのかな…そりゃ、赤ちゃんのころからコンラートのお世話になってるし、散々バカやらかしてきたけど…」
「そうねぇ…まぁ隊長の気持ちも分からんことはないけど」
「なによー!わっかんないわよー!おっぱいこんなんじゃ足りないって言うの?そういえばジュリアはおっぱい小さかった…大きいのだめなの?!」
「落ち着いてくれマヤ…そんなに連呼するな…」
「だって…」
「ほら、あいつの恋愛遍歴考えてみろよ。魚人姫まで愛せる男が胸くらいで左右されるかよ」
「美脚派?!魚人姫には勝てない…」
「相当酔ってるな…そろそろ王子様が迎えにくるから、ちゃんと話し合えよ」
「マヤ、あぁこんなに酔っ払って。歩ける?」
「だっこー」
「あんまり大切にしすぎるのも考えもんだな。女は難しいねぇ」
「迷惑かけたな」
「コンラート…」
「はいはい。帰りましょうね」
ヨザックはマヤと酒場にいた。多忙な二人だが時おり時間が合ったときにはこうして城下で気が済むまで飲み明かす、飲み友なのだ。身分に差はあるが混血同士居心地が良い。平民出身のマヤにとって、彼の気安さは一時の息抜きとなる。
「どうしたのマヤちゃん。恋の話かしらん」
「そうそう」
「なになに?隊長の夜がすごすぎて寝不足なの~とかなら勘弁してよ~」
「いや、逆ぎゃく。私たちスッゴい清らかなの」
「嘘だろ?いつも迷惑なくらいイチャイチャラブラブのくせに…」
「でしょ!わたし、楽しみにしてるのに、もう半年!わたしまだ清らか!わたし…魅力ないのかな…そりゃ、赤ちゃんのころからコンラートのお世話になってるし、散々バカやらかしてきたけど…」
「そうねぇ…まぁ隊長の気持ちも分からんことはないけど」
「なによー!わっかんないわよー!おっぱいこんなんじゃ足りないって言うの?そういえばジュリアはおっぱい小さかった…大きいのだめなの?!」
「落ち着いてくれマヤ…そんなに連呼するな…」
「だって…」
「ほら、あいつの恋愛遍歴考えてみろよ。魚人姫まで愛せる男が胸くらいで左右されるかよ」
「美脚派?!魚人姫には勝てない…」
「相当酔ってるな…そろそろ王子様が迎えにくるから、ちゃんと話し合えよ」
「マヤ、あぁこんなに酔っ払って。歩ける?」
「だっこー」
「あんまり大切にしすぎるのも考えもんだな。女は難しいねぇ」
「迷惑かけたな」
「コンラート…」
「はいはい。帰りましょうね」